仏壇とは、家の中にあるお寺のような存在
多くの日本人にとってお仏壇は、お位牌と共にご先祖様や亡くなった親族をお祀りし、対話をするためのもの…という認識があるはず。
ですが、「仏壇」の本来の意味は、文字通り、仏像や仏具を飾り、仏様を祀る台のことです。家庭のお仏壇は、寺院にあるお仏壇(内陣)を小型にして、厨子と一体化して箱型にしたものです。ですから、お仏壇は家の中のお寺のような存在とも言えます。
仏壇の台座にあたる「須弥壇」
お仏壇の中央にあるくびれた台の部分は「須弥壇(しゅみだん)」と呼ばれます。これは「須弥山」を表したもので、これより上は清浄な仏の世界、下は地上世界だと考えることもできます。
ご本尊を祀るのが空殿
須弥壇の上には「宮殿(くうでん)」があり、その中にご本尊の仏像・仏画などが祀られています。
お仏壇の各所は、動植物や菩薩・天人などの彫り物や蒔絵などによって荘厳に装飾されています。これらは「浄土」、つまり汚れのない清浄な世界を表していると言われます。
仏教の宇宙像を反映する仏壇
仏教の宇宙像は、宗派や経典によってさまざまで、必ずしも明確ではありません。お釈迦様自身は、宇宙や死後の霊魂の存在などの形而上学的な質問には、悟りには関係ないとして、お答えになりませんでした。ですが後世、さまざまな宇宙像が語られるようになりました。
その中のひとつである「須弥山宇宙像」では、世界の真ん中に「須弥山(スメール)」という大きな山があります。その山頂には帝釈天が住む宮殿があり、さらにその上空には弥勒菩薩の住む兜卒天(兜卒浄土)など、さまざまな空中宮殿があります。
世界は無数の三千大千世界から成る
仏様の本体は物質的な世界を超えているので、須弥山やこれらの宮殿には住んでいらっしゃいません。このような世界が千の3乗個、つまり十億集まったものが宇宙です。これを「三千大千世界」と呼びます。
この「須弥山宇宙像」は、古代インドの宇宙像を受けて小乗仏教で作られたのですが、大乗仏教の宇宙像にも大きな影響を与えました。
大乗仏教では、この「三千大千世界」をひとつの「仏国土」と考えて、我々の釈迦如来の仏国土の外、十方に無数の仏国土があり、それぞれに仏様がいらっしゃると考えました。これらの仏国土の中には、西方にある阿弥陀如来の「極楽浄土」のように、いつくもの浄土があると考えられました。
インドにはお釈迦様にゆかりの深い「霊鷲山(ラージギル)」という山があります。『法華経』や『無量寿教』、『般若経』などは、この山で説かれたとされています。『法華経』はお釈迦様が常にこの山にいらっしゃると考えるので、「霊山浄土」と呼ばれます。
曼荼羅。それは、物質的な世界の原型になる霊的な世界
密教では、清浄な世界を「曼荼羅」として表します。曼荼羅では、須弥山をモデルにした山の上にある宮殿の中に、仏様たちが幾何学的に配置されています。本来の曼荼羅は、物質的な世界の原型になる霊的な世界の存在です。
私たちがよく目にする曼荼羅図は、あくまでも曼荼羅を真上から見て平面に表した図です。真言宗では、曼荼羅が表している大日如来のいる浄土を「密厳浄土」と呼びます。
「浄土」という言葉は中国で生まれた言葉です。インドの仏教が考えたさまざまな清浄な世界を総称して「浄土」と呼んだのです。仏壇には、「須弥山」やさまざまな浄土のイメージが表されているのでしょう。
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