彦根仏壇は、滋賀県彦根市を中心に製造される仏壇です。その起源や特徴について紹介します。
彦根仏壇の歴史
起源は江戸時代中期。それまで武器や武具の製作に携わっていた塗師・指物師・錺金具師などが、平和産業である仏壇製造に転向したことが始まりとされています。
その後、仏壇所有の一般化や、彦根藩主による仏壇産業の保護により、製造体制が確立されました。結果として、仏壇製造は彦根の地場産業として大きく発展を遂げたのです。
彦根仏壇の特徴
彦根仏壇の主な特徴は下記の通りです。
- 城下町で伝承されてきた技術がそのまま活用されていること
(例:武具師・細工師・漆工などの技術) - 高級素材をふんだんに使っていること
(例:けやきの荒い木目を生かした木目出し塗り) - 大型金箔仏壇の中でも高級品として知られていること
- 各製造工程を専門職人(七職)が担当する分業制をとっていること
七職とは木地師・宮殿師・彫刻師・箔押師・蒔絵師・塗師・錺金具師の総称。
「伝統的工芸品」基準をクリア
彦根仏壇は、1975年(昭和50年)に、仏壇仏具業界で初めて通産大臣から伝統的工芸品の指定を受けました。
伝統的工芸品とは優れた日本の伝統産業を後世へ継承するための基準。経済産業大臣が指定した条件を満たし、産地検査に合格した製品には伝統マーク入りの伝統証紙が貼られます。
彦根仏壇に定められた基準
- 木地……天然材(桧・杉・松・欅・栓など)、産地内製造。
※組合認定の合板の一部使用も可 - 宮殿……天然材、妻屋根付総手先、桝組、産地内製造。
- 木彫刻……天然材、手彫りによる丸彫、重彫、付立彫、概ね産地内製造。
- 錺金具……真鍮、銅板の手彫金具で毛彫・浮彫・地彫・スキ彫。
※三段・柱は電鋳金具を使用可、手彫金具は産地内製造 - 塗装……堅地、砥の粉下地、立塗、呂色塗天然漆を刷毛で手塗、産地内製造。
※小物については樹脂塗料のスプレー塗装も一部使用可。 - 金箔押……金箔(純度95.24%以上)、箔押漆、純金粉(純度95.24%以上)、箔箸を使って手押し、産地内製造。
- 蒔絵……天然漆、顔料、金粉、蒔絵用泥手描き、産地内製造。
- 組立……産地内製造。
資料提供:彦根仏壇事業協同組合