川辺仏壇とは、鹿児島県川辺町を中心に製造される金仏壇のことです。川辺仏壇の特徴や発展の経緯について紹介します。
川辺仏壇の歴史
川辺町は古くから仏教の信仰が盛んにおこなわれてきた土地です。仏壇が最初に造られたのは12世紀初期であるとされています。薩摩地方には、島津藩主による一向宗の禁制(1597年)と明治初期の廃仏毀釈により、多くの仏像・仏壇が失われた過去があります。
山間に残る「隠れ念仏」の跡からもわかるように、それらの試練は信仰をより強めるきっかけになりました。川辺仏壇を代表する「ガマ壇」という様式には、これらの歴史的経緯が色濃く反映されています。
川辺仏壇の特徴
川辺仏壇の主な特徴は下記の通りです。
- 杉、松などを木地の材料としていること
- 天然本黒塗りの後、純金箔や純金粉を使用して仕上げていること
- 各製造工程(木地、宮殿、彫刻、金具、蒔絵、塗り、仕上げ)が専門の職人たちによって分業されていること
- 小型であること
「伝統的工芸品」基準をクリア
川辺仏壇は、1975年(昭和50年)に通産大臣から「伝統的工芸品」の指定を受けました。
伝統的工芸品とは優れた日本の伝統産業を後世へ継承するための基準。経済産業大臣が指定した条件を満たし、産地検査に合格した製品には伝統マーク入りの伝統証紙が貼られます。
川辺仏壇に定められた基準
技術・技法
- 木地の構造は「ほぞ組み」による組立式とする。
- 宮殿造りは、「本組技法」とする。
- 塗装は、精製漆を手塗りとする。
- 金箔押しをする。
材料
- 木地は、スギ、ヒバ、ホオ、マツ、またはこれらと同等の材質を有する用材とする。
- 金具は、銅、銅合金、あるいはこれらと同等の材質の金属製とする。
- 漆は、天然漆とする。
マークの意味
川辺仏壇には、伝統的工芸品であることを証明する「伝統マーク」以外にもさまざまなマークが添付されています。
会員登録商標マーク
担当者が自信をもって製作した製品であることを示すマークです。川辺仏壇協同組合の仕上会員に振られている番号のうち、担当者のものが記載されます。
材料商標番号
使用されている材料の品質を、材料の製作者が保証するマークです。川辺仏壇協同組合の組合会員に振られている番号のうち、担当者のものが記載されます。
品質推奨マーク
組合加盟会員が伝統的技法・近代技術を用いて製作した製品であることを示すマークです。
うるしマーク
「厳選された天然の本漆を用いていること」「手塗りの後に純金箔押しの技法を用いていること」を示す品質保証のマークです。
資料・画像提供:鹿児島県川辺仏壇協同組合
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- 鹿児島県南九州市
※川辺町は、2007年に川辺郡知覧町、揖宿郡頴娃町と合併し南九州市となりました。