三条仏壇は、新潟県三条市で生産されるお仏壇です。
三条仏壇の歴史
三条仏壇の起源には江戸時代にかけて行われた「本成寺」(1297年)や「本願寺別院(東別院)」(1690年)などの大規模な寺院建立が起因しています。
多数の寺院を造営するにあたって、京都から宮大工や塗師といった職人が集結し、三条の職人たちも技術を磨くとともに仏壇製造を開始、江戸時代中期には産業として形成していきました。新潟県三条市初の伝統的工芸品として指定された同仏壇発展の背景には、以下の理由があったと考えられています。
- 「仏都三条」といわれるほど古くから信仰心が強い土地だった。
- 「本願寺別院」建立以降浄土真宗が民衆に広がり、仏壇の需要が生まれた。
- 原料や製品の輸送、職人の移動は信濃川を利用して円滑に行うことができた。
- 金物町として栄えており、金具加工の環境が整っていた。
三条仏壇の特徴
金具加工の技術や寺院建築にも通じる本格的な宮殿作りが特徴的な三条仏壇の製造は木地・宮殿・彫刻・金具・塗・蒔絵・箔押しと組立の7工程に分かれており、各工程を専門の職人が分業して仏壇を作り上げています。三条仏壇の主な伝統的技術・技法は、以下の通りです。
- 木地の構造は「ほぞ組み」による組み立て式。
- 本格的な「枡組」または「肘木組」による宮殿作り。
- 数十種のタガネを使い、手打ち技法によって加工した「飾り金具」。
- 塗立や梨子地塗、木目出し塗などの塗装技術。
「伝統的工芸品」基準をクリア
三条仏壇は、1980年(昭和55年)10月16日に経済産業大臣より「伝統的工芸品」の指定を受けました。厳選の良質素材に伝統的技法を用いて手作りで製造される同仏壇には、経済産業大臣指定の「伝統証紙」と組合独自の「組合指定証紙」が貼られ、その品質が保証されています。
伝統的工芸品とは優れた日本の伝統産業を後世へ継承するための基準。経済産業大臣が指定した条件を満たし、産地検査に合格した製品には伝統マーク入りの伝統証紙が貼られます。