法要・法事の作法 お供え・お布施・服装はどうする?

ここでは、法要をおこなうまでの準備、法要の心得や作法、費用について説明します。事前に知識を得ておくと、本番でも慌てずに行動できます。

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法要の準備

年忌法要をおこなう場合は、法事を営む旨を壇那寺の住職に、遅くても1カ月前までには相談し、日時と場所を決めましょう。 営む場所は自宅や壇那寺が一般的です。日程は故人の祥月命日(亡くなった月日)が普通ですが、変更する場合は命日より早目にしましょう。

参会者は、一周忌までは親族の他に、近親者、友人、知人など故人がお世話になった方を招きます。三回忌以降は親類縁者や身内が中心となります。案内や通知は電話連絡でも構いませんが、通常は葉書か封書を発送します。

出席者の人数を確認できたら、引出物を用意します。引出物の表書きは、黄白あるいは銀一色の「のし紙」に、上に「粗供養」「志」、下に施主の家名、右肩に故人の戒名・法名と何回忌の供養かを筆で書きます。

法事の後に会食の席を設ける場合は、料理店に日時、人数を事前に伝えておきましょう。自宅で法事をおこなう場合は、仏壇を掃除しておきます。年回にあたる精霊の塔婆をお墓にたてることもありますので、お墓は法事の前日までにはきれいにしておきましょう。塔婆供養をする際は、早目に壇那寺に依頼しておくことが大切です。

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法要の心得

席次を決めるとき、遺族は招いた親族とともに祭壇に向かって右側の親族席に、祭壇に向かって左側は、参会した故人の知人や友人、世話役にします。会場に場所の余裕がないときは、前方に遺族、後方に親族一般が続いて着席します。

法事の服装は、葬儀から初七日~満中陰までは、男女ともに遺族は正式な喪服を着用しましょう。一周忌や三回忌などは略礼でかまいません。七回忌以降は少しずつ略式へと変えていくので、平服でも問題ありません。

寺院や霊園で法事を営むときは、自宅で行うよりも正式な服装にするのがいいでしょう。いずれにしても数珠は必ず持ってください。僧侶を自宅に呼ぶときは、出張費としてお布施とは別封で「御車料」を包みます。僧侶が到着したときは、施主は必ず玄関まで出て迎えましょう。

その後の流れ

  • 法事の祭壇前には、金襴もしくは緋や紫の座布団をしいて、導師用の席を設けます。
  • 施主は法事の開始と終了時には、僧侶や参会者一同に向かって簡単に挨拶を述べましょう。
  • 導師を勤める僧侶の合図で焼香が始まります。施主が一番に焼香し、その後、血縁関係の濃い順に焼香をしていきます。
  • 焼香があるときは、導師は脇に寄りますので、その時に正面の導師用の座布団は脇にずらして、導師の席としましょう。
  • 読経と法話が終わってから、僧侶を別室へ案内し、謝礼としてお布施を渡します。 のし袋(不祝儀袋)に「御布施」と書き、家名または施主の姓名を記します。水引きをかけるのが正式です。水引きの色は黒白、黄白、または銀一色とします。

参加者の心得

施主からの案内通知を受けたら、できるだけ早く返事をしましょう。できれば返信を出す前に、電話を入れておくのがよいでしょう。止むを得ない事情で出席できない場合は、早目に欠席の連絡をしましょう。

三回忌までは「御仏前」を送ります。故人と特に縁が深い場合は、この他に香や供花、もしくは御供物料、供花料を届けましょう。

服装は、略式喪服もしくは地味な外出着が一般的です。男性なら紺やグレーの背広、女性は地味な色彩のスーツやワンピースでかまわないでしょう。七回忌以降の法事であれば、もう少し軽い服装にしてもよいと言われています。もしも案内通知に服装についての指示があれば、それに従いましょう。数珠は必ず忘れず持参してください。

法事に招かれたら、「御仏前(「御香料」もしくは「御香資」ともいいます)」を包み供物を持参するのが常識です。ただし、自宅以外の寺院や墓前での法事では、供物が用意されています(お供えが重なってしまうこともあります)。ですから、「御供物料」として持参することもあります。

参加のきまり

  • 不祝儀袋に「御仏前」(四十九日までは「御霊前」)、「御供物料」を表書きして、下に姓名を書きます。水引きの色は、黄白か銀白がふさわしいでしょう。
  • 「御霊前」の包みや供物は、本来霊前に手向けるものですが、受付けがあれば接待係の遺族に、なければ直接施主に渡しましょう。
  • 塔婆をたてるときは、「御塔婆料」として施主に渡しましょう。焼香には、祭壇へ進行しておこなう場合と、自分の席でおこなう「回し焼香」の2通りがあります。一般的作法としては、焼香台のある仏前に進み、本尊・遺影・位牌を仰いで合掌、礼拝をしましょう。
  • 次に焼香の抹香をつまみ、念じて香炉へ焼香し、最後に合掌、礼拝をします。

ご法事の会食(お斎)について

お斎とはサンスクリット語の「ウポサタ(清浄)」から由来しています。僧侶が午前中にとる食事、または法要後の会食を指します。お斎をする場所は法要を営む場所や予算によって異なります。自宅や寺院、ホテル、会館などで法要をした場合は、その場に仕出しなどを取ってもかまいません。レストランや料亭を予約するのもいいでしょう。

本来はお斎も法事の一部です。導師を勤めた僧侶は必ず正面中央、一般的には祭壇(お仏壇)の前に座ってもらいます。 お膳・お酒などは、必ず僧侶から先に差し上げるようにしましょう。

お斎のきまり

  • 四十九日までのお斎は精進料理が理想的ですが、現在ではあまりこだわる必要はありません。
  • 仕出しや料亭に予約注文をする際には、慶事用の料理を省いてもらうために、法事の席であることを伝えておきましょう。
  • お斎を始めるとき、施主は参会者に対して、挨拶をします。
  • 終了時にも施主の挨拶が必要です。漫然とした会食にならないように留意しましょう。
  • 僧侶によっては「食前のことば」「食後のことば」を唱えたり、場合によっては「献盃」の発声がされることもあります。
  • 食事には1~2時間を要しますが、折をみて引出物が配られます。参会者のお膳の前に供物のおすそ分けがあれば、一緒に配りましょう。
  • 引出物は1世帯に1つずつ用意します。事情によりお斎を設けることができないときは、参会者に折り詰めを持ち帰ってもらうようにしましょう。 お酒の小瓶を添えるとなおいいでしょう。

法要の費用

法事に関しては、その規模に応じて予算を立てましょう。一周忌の場合は友人、知人、葬儀の世話役なども招くため、合計20~30人くらいが一般的な規模です。法事会場については、壇那寺の本堂や会館で営む場合、借りる際に会場の規定がありますので、よく確認しましょう。

費用に関して考えるべきこと

  • 寺院で法事をおこなう場合は本尊への供花と供物などが必要です。
  • お斎の費用としては、自家製か仕出しを頼む、または料亭を利用する方法があります。料亭へ出向く場合は、移動費用も考慮して予算を立てましょう。
  • 都合によってはお斎を省略し、参会者に引出物と一緒に折り詰めを持って帰ってもらうこともあります。
  • 引出物は1世帯に1個です。故人の仏前と僧侶にも引出物が必要なので、計算に入れるのを忘れないでください。
  • 導師を勤めた僧侶には、「御布施」「御膳料」「御車料」を包みます。塔婆をたてるときには「御塔婆料」もまとめて渡しましょう。
  • 上記とは別に、お世話になっている壇那寺に、法事の機に仏具などの供養の品を贈ることも大切でしょう。

なお、三十三回忌や五十回忌は、故人にとって霊が浄化され、先祖に昇華する大切な法事です。この法事から先は、故人が先祖の霊に融合していくと考えられています。できれば、永代供養のために、ある程度のお金をおさめ、今後の供養をお願いしておきましょう。

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