過去帳とは、故人の名前、戒名、亡くなられた年月日、年齢、続柄などを記入した帳面のことです。檀家全体の死亡者名簿として寺院に安置されているもののほか、それぞれの家庭において親族の死亡年月日を記して、仏壇に安置します。今回は過去帳の書き方を紹介します。「家族が亡くなった」「法要に合わせて、過去帳を新調したい」という方は、参考にしてください。
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過去帳とは、仏具のひとつで亡くなられた方の俗名(生前の名前)・戒名(法名、法号)・亡くなられた年と日付・息を引き取ったときの年齢を書き記した帳面のことです。先祖代々の故人の名前が記されている帳面なので、各家庭の系譜ともいえます。
その歴史は古く、鎌倉時代には使われていたともいわれています。
形式は、縦に綴じられた和本形式のものと、横長の紙を一定間隔で折りたたんだ折り本形式のものがあります。
過去帳の役割
過去帳は先祖や故人の命日などがわかるものです。ある意味、位牌に相当するものとして扱われるので、単なる帳面として軽々しく扱うものではありません。一般的に、故人の月命日には過去帳台に乗せて飾ります。
命日の覚書としての役割
過去帳には命日の覚書としての役割もあります。先祖や故人の命日にはその記録が書かれたページを開き、手を合わせて供養します。法要のときにもそのページを開いて、お経をあげてもらいます。
位牌をまとめることができる
過去帳は、位牌を整理するときにも活用されます。位牌の数が増えてくると、仏壇に次に納める位牌が置けません。そこで、三十三回忌や五十回忌などの法要に合わせ、位牌に書かれた記録を、過去帳に書き写します。繰り出し位牌(何枚かの位牌を入られるもの)を用いていても仏壇のなかが窮屈になってしまったときは、過去帳が有効です。仏壇を大きくせずに、先祖の記録を保管しておけます。
過去帳の書き方とポイント
過去帳には、亡くなった年代に関わらず、亡くなった日付によってまとめるものと、年表のように亡くなった順に記していくものとがあります。
過去帳は誰が書くの?
過去帳は、菩提寺の住職に記入してもらうものと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、特に決まりはありません。故人と親しかった方や、過去帳を買い求めた方が、記録を書いても良いとされています。
過去帳への記入に使う筆記用具
文字を書くための道具には、墨と筆が最も良いでしょう。墨を硯ですり、筆を使って書きます。墨で書かれた文字は長い年月が経過しても残るため、後世にも引き継がれる過去帳には適しています。
墨や筆を用いて書けないという場合は、ボールペンや鉛筆で書くこともできます。最近では、パソコンを使った印刷もあります。「きれいな文字を書けない」「お寺が遠方にあって、すぐに記入を頼めない」といったときは、過去帳の記入を代行してくれる業者などを活用しても良いでしょう。
過去帳の表装の書き方
過去帳の表装(表紙)には、家の名字を書き入れます。「○○家過去帳」「○○家先祖代々」などと書いてください。名字を書かず、「過去帳」のみの記入でも問題はありません。
過去帳・ページの書き方
過去帳に書く内容は、前述のように、亡くなられた年と月日、故人の戒名と名前(俗名)、息を引き取ったときの年齢、続柄などです。
過去帳には、日付入りものと日付なしものに分かれます。日付が入った過去帳は、亡くなった年と月までの記入にとどめてください。日付が入っていない過去帳は、亡くなった日までを書き入れましょう。過去帳が小さい場合は、2~3行に分けて書きます。
戒名の書き方
過去帳で使われる戒名は、主に2文字の短い戒名です。しかし、長い戒名が使われる場合もあります。長い戒名とは、戒名のほかに院号や釈号、居号などを含めた名のことです。
宗派による過去帳の違い
戒名の構成は宗派が異なっていても共通するものもありますが、異なるものもあります。
浄土真宗の場合
浄土真宗は戒名とは言わず「法名」と言い、過去帳にはこれを記入します。亡くなった方は仏になり、仏教徒になるための儀式を済ませていると見なすためです。
過去帳には、法名の前に釈号と呼ばれる「釈(男性の場合)」「釈尼(女性の場合)」などが書かかれます。そのため、「釈○○」(○○は法名)の3文字を書くのが一般的です。また、法名に院号をつける場合、男性は「〇〇院釈〇〇」の6文字で、女性の場合は「〇〇院釈尼〇〇」の7文字を書くことになります。
浄土宗・日蓮宗・天台宗の場合
浄土宗では、限られた方にだけ、戒名の前に誉号がつける決まりです。
日蓮宗は、法号(戒名)の前に日号が用いられます。男性の場合は「日〇〇」、女性の場合は「妙□□」となります。
天台宗では戒名の前に、大日如来を表す梵字を入れる場合があります。
まとめ
過去帳は信仰する宗派の決まりにしたがって書かなければなりません。自分で書く場合は、亡くなった方を供養する気持ちをもち、一文字ずつ丁寧に書きたいものです。先祖から受け継いだ系譜を、次の世代に引き継ぎましょう。
過去帳についてのご相談や、そのほかの仏具に関するお悩み・ご相談なども受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
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