経机とは

経机(きょうづくえ)とは、仏壇の前に設置する高さ20~30cmの卓のことです。経本を読む際に使うのが本来の使い方ですが、香炉やリン(鐘)などをのせる台としても活躍しています。数珠やろうそくなどの小物が入る小さな引き出しが付いているのが一般的で、毎日のお参りに欠かせない仏具をまとめて収納するという役割もあります。

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経机と仏壇

経机は仏壇の前に置く「前机(まえづくえ)」の一種で、宗派によっては「経案(きんあん)」とも称されます。経机の選び方に明確な決まりごとはありませんが、外観を統一するためにもメインである仏壇のタイプに合わせて選ぶのが一般的です。

 

仏壇のデザインはさまざまですが、大きく分けて次の2タイプに分けることができます。ひとつは艶のあるうるし塗りに金の細工がほどこされた「金仏壇」と呼ばれる伝統的なスタイルです。豪華で存在感のある佇まいが魅力の仏壇です。経机も同じ塗り型のものがよく合います。うるしの色には主に朱色と黒の2種類があります。仏壇のデザインや部屋のインテリアなどに合わせて色を選びましょう。

 

もうひとつは自然の木目が美しい「天然木」の仏壇です。近年ではマンションのリビングや洋間にもなじむ家具調タイプの仏壇も多く出回っています。木製の仏壇には、温かみのある手触りや美しい木目を生かしたシンプルな経机がよくなじみます。

 

木製仏壇の素材は、古くから銘木とされる「唐木(からき)」や「和木(わき)」のほか、手軽に求めやすい合板など多種多様です。経机を合わせる場合は、仏壇の色や風合いに合わせて明るい色の「ナチュラル」系か、色濃く重厚な「ウォールナット」系で選ぶと落ち着いて調和の取れた空間が演出できます。

経机のサイズや扱いについて

経机は、横幅42~75cm、奥行き24~40cmのものが一般的です。高さは正座してちょうど良い30cm前後のもののほか、椅子に座ってのお参りや立式の法事などに使いやすい背高タイプがあります。

 

経机はもともと経本を置くための机とされており、本来は香炉やリンなどの仏具やお供え物などを並べる「御供机(おそなえつくえ)」とは区別されています。正式には、まず御供机を設置し、その手前に経机を置きます。

 

ただし、限られたスペースに前机を2つ置くことが難しかったり、仏壇までの距離が遠くなって普段の手入れに不便が生じるなどの観点から、近年では御供机を省いて経机に小物を置く家庭も増えています。また、デザインがシンプルな御供机が経机として用いられることもあります。

 

その他、普段はシンプルな御供机を使って、仏事の時に小さめの経机を添えるという方法もありますし、仏壇前に御供机と経机の両方を設置する場合は、奥行きの狭いタイプを選ぶのもおすすめです。

経机のデザインについて

もっともオーソドックスな経机は、末広がりになった四角い脚と、机の両サイドに「筆返し」と呼ばれる耳のような縁が付いた格調高いデザインが特徴です。

 

筆返しは、経机が書き物に活用されていた頃の名残で、巻物や筆が転がり落ちるのを防ぐ目的で取り付けられたものが、そのままデザインとして受け継がれています。

 

引き出しや側面にある雲のような形をした装飾は、「格狭間(こうざま)」と呼ばれます。今も多くの日本建築に見られる伝統的な意匠のひとつで、塗り物の場合は金色に塗装されています。

 

また近年では、ライフスタイルの多様化にともなってモダンな家具調仏壇も広く普及しているほか、先述のように御供机と経机が同じ「前机」として用いられる場合もあります。本来の御供机には筆返しや引き出しが付いていないので、どんなインテリアにもマッチするというメリットがあり、スタイリッシュなものを選べば普通のサイドテーブルとして流用できるのも魅力です。ただし引き出しがないことで、収納したい小物が多い場合は別途考える必要が出てきます。その他人気のタイプは、使わない時には脚が折りたためるようになっていたり、よりコンパクトに収納できたりするタイプです。

 

ちなみに、経机に小物を置く場合は「経机掛け」と呼ばれるマットを敷くことで、すり傷や線香の火から天板を守れるだけでなく、程よいアクセントにもなります。美しい木目を見せるガラス製のカバーもおすすめです。

経机の素材と値段について

経机の値段は、素材や装飾によって異なります。桐材は比較的手頃な値段で求められることに加え、軽くて扱いやすいのが特徴です。

 

同じ木製でも、桑や桜、屋久杉などは古くから人気のある高級木材です。「唐木」と総称される黒檀(こくたん)や紫檀(したん)などは重厚感があり、とても硬いのが特徴です。

まとめ

仏壇周りに欠かせないアイテムのひとつ「経机」について、種類やデザイン、選ぶ際のポイントなどについて紹介しました。仏壇や経机などの伝統的な仏具は、その美しい意匠や繊細な技巧が外国でも高く評価されています。インテリアとしての観点も大切ではありますが、選ぶ時は実用性も考えて、納得の一品を選びたいものです。

経机の素材やサイズで迷ったら、お気軽にご相談ください。

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