仏壇修理の種類と方法 – 費用、流れ、適した時期と修復時の注意点

仏壇は、長年使用していると少しずつ痛んでくることがあります。日頃、目にしているとなかなか気付きませんが、ふとした時に、だいぶ古くなってきたと感じることがあるでしょう。高品質な仏壇は、使えば使うほど味わい深くなるものですが、年月を経ると、痛んで部分的に壊れかけてしまう場合もあります。

手遅れることがないように、ここでは仏壇の修理方法について詳しく解説していきます。

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仏壇修理の種類

仏壇を修理する方法は修理の規模によって「部分修理」「部分修復」「完全修復(お洗濯)」の3種類に分かれています。ただし、仏壇の造りや素材などの関係で、修理ができるものとできないものがあるため、詳しくは修理専門業者や仏壇・仏具店で確認をする必要があります。

「部分修理」

仏壇修理の方法のうち、最も簡単な方法が「部分修理です。その名の通り、壊れてしまった部分を直すことを指します。

例えば、仏壇の扉に歪みが生じて開け閉めができなくなってしまった時に、歪みを解消して不便なく開け閉めができるように直すような場合のことです。

修理をする上で洗浄が必要であれば簡単な洗浄を行うこともありますが、そうでない場合には洗浄まで行うことはありません。あくまで特定部分の機能を回復させるのが「部分修理です。

「部分修復」

「部分修理」よりも本格的な修理方法が「部分修復」です。「修復」というのは、元の状態に戻すという意味になります。壊れた部分を修復するというのは、機能的に回復するだけではなく、同じ素材を使って外見も購入時と同じ状態にすることを指します。

例えば、金仏壇」で金箔が剥がれてしまったというときには「部分修復」を行います。

部分的に元の状態に戻すため、対象箇所が汚れていれば洗浄も行います。部分的にくすみや色あせが気になる時などに、元の状態に回復させるために行うのも「部分修復」となります。

「完全修復(お洗濯)」

「完全修復(お洗濯)」というのは、仏壇全体の状態をチェックして完全に修復することです。仏壇のクリーニングとも呼ばれています。

伝統的な仏壇である金仏壇」は、補修して使うことを前提に造られているので、細部の部材まで取り外すことができます。破損した部材を修復・交換しながら、代々子孫に伝えられるような造りになっています。

専門の職人が新品の仏壇を作るのと同じ工程で修復するため、「完全修復(お洗濯)」を行った仏壇は新品同様の輝きを取り戻します。

仏壇の「完全修復(お洗濯)」を行う際には、仏壇をいったんパーツごとに分解します。分解することで、傷が付いている細部の箇所を見つけ出し、すべてのパーツを洗浄・修復する大がかりな作業です。

ホコリやすすを落とし、木地、彫刻、金具などの補修、部品交換、締め直しなどを行います。長年使用していると金具が錆びてくることも多いですが、「完全修復(お洗濯)」はそのようなサビも落としてくれます。

金仏壇」であれば、金箔の貼り直しや漆の塗り直し、蒔絵の描き直しも行います。金箔や漆が剥げていた場合はもちろん、経年変化によりくすんだり色あせてしまった箇所なども、「完全修復(お洗濯)」を行うことで見違えるようにキレイになります。

また、「完全修復(お洗濯)」を行うにはかなり時間がかかることも留意しておきましょう。「金仏壇」であれば2~4カ月程度の時間を要するとお考えください。

なお、仏壇の種類によっては「完全修復(お洗濯)」ができない場合もあります。その場合は、仏壇の買い替えや、処分を行うことなども検討しましょう。

仏壇修理の費用・価格

仏壇修理を行う際、多くの方が気になるのは費用のことでしょう。仏壇修理は、依頼する業者や作業内容などにより、かかる費用は大きく差が出てきます。

仏壇修理の価格相場

仏壇修理にかかる費用は、仏壇の大きさと仏壇の種類によってかなり差があります。コンパクトサイズの仏壇と、大きめの仏壇では5倍くらいの差が出る場合もあります。また、「金仏壇」と「唐木仏壇」では3倍程度の差になることもあるでしょう。

小型の仏壇であれば10万円~20万円くらいが相場といわれています。もう少し大きめのサイズであれば20万円~40万円くらいはかかるでしょう。大きめの仏壇であれば50万円以上かかる場合が多いです。大きな金仏壇の「完全修復(お洗濯)ともなれば100万円以上かかることもあります。

「完全修復(お洗濯)」まで行わずに、「部分修理」や「部分修復」だけの依頼であればもっと安く済む場合もあります。修理や修復をする箇所が少なければ数万円程度で済むこともあります。いずれにしても、仏壇の汚れや破損の状況によって価格は異なるため、まずは見積もりをとることが第一です。

修理専門業者と仏壇・仏具店の違い

仏壇の修理を依頼できる業者は、「仏壇・仏具店」「仏壇修理の専門業者」の大きく2種類に分けられます。

「仏壇・仏具店」は主に仏壇を販売している店舗です。自社で製造から行っている仏壇・仏具店もあれば、販売のみを行っている店舗もあります。製造も行っている仏壇・仏具店なら、自社内に職人がいるため修理や洗浄も自社内で行うことが可能です。

ただし、自社で販売した仏壇でないと、修理や洗浄に対応していないこともあります。

「仏壇修理の専門業者」は、仏壇の製造も販売も行っていませんが、修理や洗浄に特化した業者です。基本的にどんなタイプの仏壇にも対応していますが、業者によって技術の差が大きく、価格に大きな差が出ることもあります。

仏壇修理の流れ

ここでは、仏壇修理に出すときの流れを見ていきましょう。

まずは見積もりをとる

仏壇修理に出すときには、最初に見積りを取りましょう。ほとんどの業者は見積もりを無料で行ってくれます。ホームページなどで料金表を掲載している業者もありますが、料金表の金額はあくまで目安と考えておくとよいでしょう。

仏壇修理は、大きさや種類が同じでも仏壇の状態によって価格が違ってきます。電話やメールなどで業者に仏壇の種類や大きさ、状態などについて詳しく伝えて正確な見積もりを取るようにしましょう。あらかじめ予算を決めた上で相談するのも1つの方法です。

提示された見積りを確認し、納得できる金額であれば依頼をしましょう。あらかじめ予算を伝えておけば、その予算内でできるだけ仏壇の状態が良くなる方法を提示してくれます。見積りに納得がいかない場合、最終的に断っても問題ありません。

仏壇修理の見積りを確認する際に気を付けたいことは、価格だけではなく、修復にどのくらいの日数がかかるのかということです。仏壇の種類や状態によっては何カ月もかかることがあるので、注意しないと年忌法要までに、仏壇の修理が間に合わないということにもなりかねません。

出張修理の場合

仏壇の修理が1日で済む内容であれば、自宅への出張に対応している業者もあります。「出張修理」は、仏壇を運び出さなくて済むのが大きなメリットです。

「出張修理」は、職人が自宅に来て仏壇を自宅に置いたままの状態で修理してくれます。「部分修理」や「部分修復」であれば、出張で対応してもらう場合も多いです。見積りを取る段階で、「出張修理」に対応しているかどうか確認しておくのが良いでしょう。

預かり修理の場合

仏壇の修理、特に「完全修復(お洗濯)」を行う場合、仏壇を業者に預かってもらうのが一般的です。「出張修理」に対応している業者でも、「完全修復(お洗濯)」を行う場合などは1日では終わらないため預かりで修理を行います。

仏壇の運び出しのために業者の人が自宅に来るので、依頼時に希望の日程を調整します。また、修理にどのくらいの日数が必要かも確認しましょう。

仏壇の修理が完了すると、キレイになった仏壇を業者の人が自宅まで運び込み、元通りに設置してくれます。このときの日程は依頼の時点で決めておく場合もあれば、預かり後の修理の進捗状況と照らし合わせながら決める場合もあります。

仏壇修理の時期・タイミングと修理規模

仏壇修理は、購入後、一定の期間が経過した場合に実施するのが良いでしょう。計画的に修理を行うことで、仏壇はかなり長持ちします。以下では、修理の時期と規模に関する目安を紹介します。

購入後10~20年:「部分修理」

仏壇は購入後10~20年くらい経過すると、良く触る部分などが手垢で汚れてしまうことが多く、小さな傷なども目立ってくることがあります。ただし、普段から小まめに掃除をしていれば、比較的キレイな状態のまま保てることも多いので、全体的に見れば特に痛んでいるような状態ではないかもしれません。

そのため、購入後10年を経過したら「部分修理を行うと良いでしょう。こびり付いた手垢や小さな傷がなくなるだけで、だいぶキレイな状態になります。

購入後20~30年:「部分修復」

仏壇の購入後20年くらい経過すると、全体的に小さな傷が増えてくるほか、扉を開け閉めした時に歪みが生じてくるケースなどがあります。

歪みで扉が上手く閉まらなくなっているようであれば「部分修復を行うのが良いでしょう。

購入後20年程経過しているが、30年までは経っていないくらいの時期であれば、「完全修復(お洗濯)」を行うには少し時期が早いですが、「部分修復」をする時期としてはちょうど良いため、気になる部分を直しておくようにしましょう。

購入後30年以上:「完全修復(お洗濯)」

仏壇を購入してから30年以上経っている場合は「完全修復(お洗濯)」を検討しましょう。30年も経過していると、仏壇の各部分が劣化してきます。色あせてしまったり、くすんでいたりするところもはっきり分かるようになってきていることでしょう。

「唐木仏壇」であれば、木が割れてしまったり反りが見られることもあります。「金仏壇」も金箔が剥げてしまっている箇所が所々に見られるようになります。特に強く擦ったり触ったりしていなくても、30年も経過すれば自然と金箔が痛んでいることは多いです。

仏壇の修復箇所/痛みやすい部分はどこ?

仏壇はどの部分が痛みやすいのか、どんな痛み方をすることが多いのかを説明します。購入して10年以上経過すると、多くの仏壇がどこかで痛みなどを生じることが多くなってきます。

くすみ

購入したばかりの仏壇はとてもキレイに見えるでしょう。金仏壇」であれば金箔が美しく輝きますし、光沢があり、全体的に明るく感じられるでしょう。唐木仏壇」にも重厚な美しさがあります。

しかし、年月が経過するに従い、少しずつ「くすみ」ができてきます。

毎日見ていると気付きにくいのですが、購入したばかりのころの写真と比べると違いがはっきり分かります。長い年月が経過した仏壇は輝きや透明感が失われ、全体的にくすんだ雰囲気になってしまいます。

歪み

長く仏壇を使用していると、外部からの刺激や負担のかかり具合によって、「歪み」が生じてしまうことも良くあります。仏壇にはロウソクや線香を立てますが、その影響で熱を受ける部分が歪んでしまうことなどもあります。

また、ストーブやエアコンなどの暖房器具を仏壇のそばに置いている場合には、温風が当たる部分に「歪み」が生じることも良くあります。温風が少し当たる程度では歪むことはありませんが、長期間にわたって温風が当たり続けると「歪み」の原因になります。

剥がれ

「金仏壇」の金箔に傷が付いたり、「剥げて」しまうこともあります。金箔の部分はかなりデリケートなので、不用意に触れてしまうと剥げてしまうこともあるでしょう。漆が塗られている部分も、触ったり擦ったりすると傷が付くことがあります。

色あせなど

年月の経過により、少しずつ「色あせ」が生じます。特に安価な「唐木仏壇」などは、木目が自然の木目ではなく印刷して描いた木目であることもあるので、「色あせ」が生じる場合もあります。

仏壇修復のときに注意すること

本尊と位牌はどこに置く?

修復に出している間の、本尊や位牌の安置場所をあらかじめ考えておきましょう。菩提寺(檀那寺)に預かってもらう方法と、仏壇が置いてあった場所にそのまま安置するという方法があります。元の場所に安置をすれば、毎日のお参りを継続して続けることができます。

また、仏壇を修復に出す時には、買い替えの場合と同じく、修復に出す前に「魂抜き」、修復から戻ってきたら「魂入れ」の儀式が必要となることも忘れてはいけません。

修復ができる仏壇、できない仏壇

仏壇の修理・修復の際に注意したいのは、修復はどの仏壇でもできるわけではないことです。

安い仏壇の中には、表面の木目の印刷が「剥がれ」てしまったり、木材が十分に乾燥されていなかったために「歪み」が出てしまうものも少なくありません。こうした仏壇は修復できないものも多く、仮に修復ができたとしても、新しい仏壇を買うより費用がかさんでしまうということも少なくありません。

修復できるのは、ある程度きちんとした作りえもいわれぬです。金額の高い仏壇であれば必ず修復できるというわけではありませんが、一般的には、金額の高い仏壇のほとんどは修復可能、金額の低い仏壇は修復ができないものが多いという傾向があります。

仏壇の修理やお洗濯の相談も「いい仏壇」

仏壇も長い年月が経てば傷みがひどくなり、汚れも目立ってきます。金具が外れたり、金箔が剥がれたり、虫食いが起こったりすることもあるでしょう。

仏壇はきちんと手入れをしていれば、50年でも100年でも使えるものです。長年使い込んだ仏壇には、得もいわれぬ味わいがあります。家族が長年お参りしてきた仏壇は心がこもった大切なものなので、破損や汚れがひどくなった場合は、修理やお洗濯を行うことを検討するようにしましょう。

仏壇の修理やお洗濯は「いい仏壇」でご紹介している仏壇・仏具店などに依頼することもできます。仏壇・仏具店で仏壇の修理やお洗濯を行う場合は「いい仏壇」の割引クーポンを利用することができる場合がありますので、ぜひ、ご利用ください。

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