祥月命日にすること

日本には数多くの宗教的な習慣があります。お彼岸やお盆の時期にお墓参りに行ったり、仏壇に手を合わせるなど馴染みのある供養もありますが、知らないことも多いのではないでしょうか。

一周忌や三回忌、七回忌などの区切りの年に行う供養のほかに、もっと短い周期で行う供養もあります。故人が亡くなった日である「命日」(「忌日(きじつ)」とも言う)とは別に、「祥月命日」と呼ばれている日があるのをご存知でしょうか。ここでは、「祥月命日」の意味や行うべきこと、知っておきたいマナーなど「祥月命日」について詳しくご紹介していきます。

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祥月命日にすること

祥月命日は、「しょうつきめいにち」と読みます。あまり聞き慣れない言葉なので、中には初めて聞く方もいらっしゃるのではないでしょうか。祥月命日という呼び方のほか、「正忌日(しょうきじつ)」とも呼ばれています。

祥月命日」は、故人が亡くなった一周忌以降の、その月のその日のことを指します。


「祥月」は、一周忌以降、故人が亡くなったその月のことです。
「月命日」は「祥月」以外の、故人が亡くなったその日のみを指します。

祥月命日とは?

祥月命日」は、故人が亡くなった一周忌以降の、その月のその日のことを指します。

例えば、3月1日にお亡くなりになった人の場合の「祥月」は3月ということになり、毎年3月1日が「祥月命日」ということになります。

名称の由来は諸説ありますが、古代中国の儒学者の経典「礼記(らいき)」に、一周忌を「小祥忌」、三回忌を「大祥忌」と著されていることから、その「祥」の字をとり「祥月」と呼ぶようになったという説があります。
ほかにも、「正忌月」を略して祥月となったという説もあります。

月命日との違いとは?

では、よく耳にする「月命日」とは何を指すのでしょうか。

「月命日」は、故人がお亡くなりになった日のみを指す命日のことです。月命日は、命日のある月を除いた毎月あります。例えば、3月1日が命日だった場合には3月1日を除いたすべての月の1日が「月命日」で、1年間に11回訪れます。

一方、「祥月命日」は亡くなった月日の両方が一致する日なので年に1回しかありません。

祥月命日に行うべき供養とは?

「祥月命日」に行う供養の方法は、宗派の教えや地域の慣習、家庭によっても異なります。

お墓がお住まいの場所から遠い場所にあったり、家に仏壇が無いという方も少なくありません。また、忙しくて時間が取れないという方もいるのではないでしょうか。

ここでは、一般的とされている「祥月命日」の供養の方法をご紹介します。

仏壇に故人の好んだ食べ物やお花を供える、お墓参りに行くなど、供養の方法はさまざまです。
祥月命日」に合わせて、「法要」や「法事」を営むこともあります。

祥月命日の供養

1年に1回訪れる「祥月命日」に行うべきこととは、どのようなことなのでしょうか?

故人が亡くなった月日と同じ月日である「祥月命日」には、故人を偲び供養を行います。

位牌のあるお仏壇に故人の好きだった食べ物やお花をお供えしたり、お墓参りに行きお塔婆を立てたり、供養の方法はさまざまあります。

塔婆を立てる

塔婆は、故人の成仏を願うという役割と、ご自身の近況報告のための手紙の役割も果たします。

もし、何らかの理由で法要に行けない場合には、お寺の住職にご連絡をして「塔婆を立ててください」とお願いするのもよいでしょう。その際には、供養料を納めることを忘れないようにしましょう。

「祥月命日」などの命日から1年以上経過した後で行われる供養は、遺族のみで執り行われることが多いという特徴もあります。

法要を営む

「祥月命日」に、法要を営むこともあります。

法要とは、お寺の住職を呼んでお経をあげてもらうことです。多くの場合、法要は、一周忌(故人が亡くなって1年経った日)、三回忌(故人が亡くなって2年経った日)に行います。三回忌以降の法要は、三と七がつく「祥月命日」に行われます。つまり、七回忌、十三回忌、十七回忌・・・と続きます。

法要をかさねて五十回忌を迎えた場合には、それ以降の法要は五十年ごとに行うとされていますが、現実的に五十年ごとに行うのは難しいので、三十三回忌または五十回忌を迎えた後には、これ以上年忌を行わないという意味の「弔い上げ」を行う場合が多くなっています。

法事とは

祥月命日」の三と七がつく際の回忌法要の際に、会食を伴う供養を法事と言います。

子どもの頃、親御さんに連れられてお墓参りをした後に、日ごろあまり会ったことのない親せきと食事会をした経験があるという方も多いのではないでしょうか。

法事の際には、普段なかなか会えない親せきが集まり、故人を偲ぶ会話をしたり、近況を報告し合うことなども故人の供養になります。

知っておきたいお供えのマナーとは?

仏壇にお供えをしたり、お墓参りに行った際のお供えにもきちんとしたマナーがあります。
重さや大きさだけでなく、品物の選び方なども知っておくと良いでしょう。

お供えとは

お供えとは、神様・仏様への捧げ物を意味します。昔から御仏前へのお供え物には、お花や食べ物、お線香などを捧げてきています。

ご仏前のお供え物は地域によって慣習や風習が異なるので、ご家族や親せき、ご遺族の方にあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

お供え物の5つのマナー

お供えマナー1.重さと大きさに注意する

御仏前にお供えする物は、重いものや大きすぎる物はご遺族のご迷惑になる場合があります。重すぎると持ち帰る際に困ります。また、大きすぎるとお供え物のスペースの多くを占めてしまうことにもなりかねません。
御仏前にお供えする物は「重くない物」や「かさばらないもの」を選ぶと良いでしょう。

お供えマナー2.肉・魚・酒は避ける

魚・肉などは、殺生を連想させてしまうため、御仏前にお供えするのは避けましょう。また、お酒はお神酒としてお供えする場合もありますが、ご遺族がお酒が飲めない場合もあります。ご遺族がお酒がお好きな場合は良いのですが、マナー1.でもご説明しましたが、「重い」「かさばる」という意味でも避けた方が良いでしょう。

お供えマナー3.日持ちする物を選ぶ

ご遺族の方は、一度に多くのお供え物をいただくことになります。地域によっては、その場で参列者の方々に分けることもあります。
お供え物は、日持ちする物であると同時に、参列者にお分けすることも考慮すると、小分けになっているものが良いでしょう小分けに包装されている日持ちするお菓子などが重宝するのではないでしょうか。

お供えマナー4.お供えの包装

御仏前へのお供え物は、必ず包装するのがマナーです。表書きは「お供」または「粗供養」などとして、その下に自分の名前を記載しましょう。
お供え物にかける水引は、四十九日までは白黒のもの、四十九日以降は双銀結びきりのものを選びましょう。

お供えマナー5.表書き

御仏前へのお供え物を品物ではなく現金を包む場合には表書きが必要です。四十九日よりも前の場合には「御霊前」、四十九日以降の場合には「御仏前」または「御供物料」として下さい。
ただし、宗教によって異なる場合があるので、注意が必要です。浄土真宗やほかの真宗の場合「人は亡くなったらすぐに仏様になる」という考えがあります。そのため、「御霊前」は使用しませんので、四十九日よりも前の場合でも「御仏前」として下さい。
故人の宗教をあらかじめ確認をしておき、失礼の無いようにしましょう。

お供物料の相場はどのくらい?

お供えのマナーについて5つご紹介しました。
次に、気になるお供物料にいついてご紹介します。
お供物料の相場ですが、故人との関係や会食があるのかどうかによっても変わってきます。

一般的なお供物料について、故人との関係・会食がある場合・会食がない場合の3つに分けてまとめました。

故人やご遺族とのつきあい、関係性によっても供物料の相場・目安は変わります。
供物料の包み方、渡し方にもマナーはあります。

供物料の相場・目安

故人との関係会食あり会食なし
故人と血縁関係がある場合2万~5万円1万~3万円
故人と親しい関係(血縁関係なし)の場合3万円~1~3万円
一般的な友人・知人の場合1万~3万円5千~1万円

一般的な金額をご紹介しましたが、親せきの方や友人と相談して金額を合わせるのも良いでしょう。

供物料で用意するお札

お供物料を包む際に、気をつけなければならない重要なマナーがあります。それは、供物料として包むお札の状態です。

弔事に包むお札は折り目がついている物にしましょう。わざわざ銀行で下ろさなければならない新札を包んでしまうと、供物料の用意をしていた、故人が逝去することを待っていたという意味にとらえられてしまうのでマナー違反となります。新札の場合には、必ず折り目をつけてから使用するようにして下さい。

供物料を入れる向き

供物料にはお札の入れ方のマナーがあります。

お札は、中袋を裏にして開けた際に、肖像画が表側になるように入れましょう。上下に関しては肖像画が下に来るようにします。複数のお札を入れる場合、お札の向きはすべて同じ方向に揃えます。

供物料の渡し方

お供物料は不祝儀袋に入れて、「袱紗(ふくさ)」に包んで持参しましょう。
水引の色ですが、地域によっても色が異なるためあらかじめ調べておきましょう。分からないことがあありましたら、不祝儀袋を購入した仏壇店や、お寺などに確認してみましょう。

また、渡し方のマナーですが、施主の前で袱紗から取り出し、相手に不祝儀袋の正面が向くようにして両手でお渡ししましょう。

服装についてのマナー

「祥月命日」に行う法要や法事は、故人様を偲ぶための供養です。そのため、黒やグレー、濃紺などの色合いのシンプルなデザインの装いで参列するのがよいでしょう。喪服を着用する必要はありません。

派手な色彩やデザインの服装、また、強い香りの香水をつけることは避けましょう。

お供えに適したお花とは?

仏前には、生花をお供えすることは故人への供養はもちろんですが、ご遺族の悲しみを和らげる効果もあると言われています。四十九日の法要が終わるまでは、鮮やかな色の花は飾ってはいけないとされているので、白い花、もしくは青や紫を差し色として入れるのが良いでしょう。

トゲや毒のあるお花は避けましょう。故人が好きなお花であったとしても、バラや彼岸花をお供えするのは不適切です。

菊の花

お供えの花として、最初に思いつくのは菊の花ではないでしょうか。菊は、お供えに最も適した花と言われています。菊の花は持ちがよく、邪気を払う力があると考えられていました。仏教、キリスト教共に、白い菊をお供えすることがよくあります。菊の花言葉は「清浄」「高尚」です。花言葉の面からもお供えに向いていると言えるでしょう。

トルコキキョウ、スターチス、カーネーション

5月から9月の時期なら、トルコキキョウも良いでしょう。白と青を貴重にした種類があり、お供えに適しています。
また、スターチスも白や青があり、お供えに適した花です。花言葉は「変わらぬ心」「途絶えぬ記憶」で、こちらも、お供えに合った意味をもつ花です。
キリスト教の場合、カーネーションをお供えする場合が多くあります。白や青、紫などがお供えの花に向いています。

アレンジ花束

そのほかにも、最近では故人が好きだったお花でアレンジメントした花束を作って持っていくのも良いでしょう。法事が終わり、お供えの生花を持って帰る際に持ち運びにも便利ですし、持ち帰った後も花瓶に移すことなく、そのまま生けることができるので喜ばれます。