神棚にお供えする水には、どのような作法があるのでしょうか。神社からいただいた神札をお祀りする神棚は、いわば小さな神社であり神聖な場所とされています。神棚には、神様のために水や塩などのお供えをしますが、その作法については意外と知られていないものです。今回は、ご家庭や会社などに初めて神棚を設ける方のために、交換するタイミングや配置方法など、知っておきたい神棚にお供えする水の作法についてくわしくご紹介します。
神棚にお供えをする理由
神棚や神社にお供えする水などのお供え物のことを神饌(しんせん)と呼びます。神饌物(しんせんぶつ、しんせんもの)または御饌(みけ)と呼ばれることもあります。お供えする神饌には神様のお食事という意味があり、日々の供え物として、「米・塩・水」の三品を供えます。この三品のことを日供(にちぐ)と呼び、古代から貴重な食品とされていた「米・塩・水」を供えるのです。神棚に神饌を供えて毎日礼拝をして、家庭の平穏や会社の発展などを祈願するのです。
神道では月次祭(つきなみさい)と呼ばれる毎月行われる祭りがあります。月次祭が執り行われる日は神社によって違いますが、毎月1日・15日に行われる場合が多いです。その日には「米・塩・水」の三品に加えて、お神酒(みき)と呼ばれる酒を供え、榊も交換します。また、月次祭だけでなく、結婚や出産、七五三など家庭でお祝い事があったとき、氏神様の夏祭りや秋祭りのとき、会社の記念日などに、お神酒や果物などを供えます。
神棚にお供えする水はどんな水?
神棚にお供えする水は、その日に使う最初の水である「初水」を供えするのが理想的です。初水とは、洗顔や調理をする前に最初に蛇口から出てくる水のことです。初水を用意しようと思っても、難しい場合もあるでしょう。初水を用意できない日には、初水でない水でも「神様に召し上がってください」という気持ちを込めて神棚に供えます。
また、神様に召し上がっていただくものなので、自分が美味しいと感じる天然水やミネラルウォーターでも良いです。
神棚の水はどんな容器に入れるの?
神棚に水を供えるときは、水器(すいき)と呼ばれる神具を使用します。水器は、水玉(みずたま)とも呼ばれています。
白磁の陶器製または素焼きの土器製で、丸みを帯びた器です。蓋が付いていますが、神様に飲んでいただけるように蓋を開けておくか、少しずらして神棚に供えます。蓋付きの水器のほかに、御神前(ごしんぜん)の文字が記されているガラス製のコップ型の水器に入れて供えることもあります。
どちらの型の水器でも、水の量は満杯ではなく、容器の8分目ぐらいまで入れて神棚に供えます。
神棚の水の配置方法
神棚に水などの神饌をお供えするときには、配置方法に基本的な作法があります。配置方法は、神饌を乗せる神具の種類によって違います。神饌を乗せる神具には、折敷(おしき)と三方(さんぼう)があります。折敷は、懐石料理などにも使われる縁のある木製のお盆です。形は正方形または長方形(長折敷)です。三方は、お正月に鏡餅を乗せる台のことです。正方形の折敷に胴が付いていて、胴の前と左右に穴が開いています。
正方形の折敷または三方の場合
正方形の折敷または三方に乗せてお供えするときは、米を神様に近いに奥側の中央に置いて、向かって左前に水、右前に塩を配置します。お神酒もお供えするときは、お神酒入れを米の左右の手前に1本ずつ置き、左前のお神酒入れの前に水、右前のお神酒入れの前に塩を配置します。
長折敷の場合
長折敷に乗せてお供えするときは、向かって左から水、米、塩の順に、横一列に並べます。お神酒もお供えするときには、向かって左から水、酒、米、塩の順に並べます。お神酒入れが2本ある場合は、正方形の折敷と同じように、米を奥側の中央に置いて、その左右の手前にお神酒入れを1本ずつ置き、左前のお神酒入れの前に水、右前のお神酒入れの前に塩を配置します。
神棚の水を交換するタイミング
神棚にお供えした水は、基本的には、毎日交換するのが理想です。日供としてお供えする「米・塩・水」は、神様の食事ですから朝にお供えした神饌を、その日の夕方または夜に下げて、また翌朝に新しい神饌を供えます。
神棚は高い場所にあり、お仕事などで忙しい方が毎日交換するのは大変ですが、水の交換はあまり手間がかかりませんから、毎日きれいな水をお供えすることをおすすめします。米と塩については、1週間に2回か3回、1日と15日には必ず交換するなどのルールを決めると良いでしょう。
また、神棚から下げた水は、そのまま捨てるのではなく、植物の水やりなどに使いましょう。
まとめ
今回は、神棚にお供えする水について、交換頻度や配置方法などの作法をご紹介しました。神棚は神様を祀る神聖な場所ですから、基本的な作法を守りながら水などをお供えして、家族の平穏、会社やお店の発展を祈願したいものです。神棚のお供えの作法のほか、神棚の選び方や設置場所などについてもっと知りたいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。