お寺のミニチュアであるお仏壇には白木や金箔、彩色が施された像や掛け軸(仏画)の仏像が祀られます。宗派によってお仏壇に荘厳する仏像が異なるため、本尊・脇侍の決まりを理解して飾ることが重要です。
仏像ってそもそも何?
元々は仏教を開いた釈迦(ブッダ)の姿を表現した像を呼んでいました。その後、阿弥陀如来・薬師如来・観音菩薩・弥勒菩薩・文殊菩薩などさまざまな仏、仏教神、宗派の開祖などの仏像が生まれました。最終的に、仏像は「悟りを開いた人の像」、あらゆる信仰の対象を象った像という広い意味で定義されることとなりました。
仏像の歴史
仏像の歴史は古代インドからはじまったとされています。起源地は諸説ありますが、中でも有力なのが1世紀後半から2世紀頃のガンダーラ地方(現パキスタン)説です。
ギリシャやローマ、インド文化が交錯したこの地では成熟した彫刻技術によって、目鼻立ちがはっきりとしたレリーフや仏像が盛んに作られたそうです。現在のような仏像は4世紀頃から5世紀に繁栄を遂げたグプタ朝時代で確立されたと言われています。日本に仏像や仏教文化が伝わったのは飛鳥時代まで遡ります。
善光寺の「一光三尊阿弥陀如来像」や明日香寺の「飛鳥仏像」は国内で最古の仏像とうたわれ、日本の仏像文化の歴史を今に伝えています。最近では若者を中心に“仏像ブーム”が起こり、仏像は宗教的な要素だけでなく、芸術品としても多くの人々の関心を集めています。
本尊と脇侍
本尊
お仏壇の中央に位置する須弥壇(しゅみだん)にご安置する最も大切な仏像で、「ご本尊様」と呼ばれているものです。宗派によって仏像は異なり、木や鋳造の仏像や掛け軸でご安置されます。
お仏壇の大きさに合う仏像を選び、菩提寺で「開眼供養」を行った後お仏壇に祀ります。多くは仏壇店で購入する場合がほとんどですが、本山から本尊を受ける宗派、地域もあります。本尊・左右の脇侍と合わせて荘厳することを三尊形式と呼んでいます。
脇侍(わきじ・きょうじ)
本尊の左右にご安置する祖師像などの仏像。本尊とともに仏教の教えを伝え、本尊を支える役割があるとされています。脇侍も宗派によって種類が異なります。たとえば、真言宗は本尊が大日如来、脇侍は弘法大師、不動明王が正式な荘厳の形式です。脇侍はほかにも脇士・夾侍、脇立という別称があります。
仏像の種類
仏像は大きく分けて5つの尊格に分類することができます。
宗派による違い
お仏壇にご安置するご本尊・脇侍は各宗派によって以下の違いがあります。