生前整理とは、元気なうちに自分の身辺を片付けておくことです。高齢化にともない老後の期間が長くなったことや、認知症が社会問題になっていることなどを背景に、「元気で気力も体力もあるうちにできることをしておこう」との考えから、生前整理をする人が増えてきています。従来の遺品整理では、死んでから遺族に負担を掛けるため、それに代わる「終活」のひとつの要素として、認知度が高まっています。
生前整理をする意味やメリット
生前整理は、自分と遺族の双方にメリットがあります。
まず自分にとってのメリットは、「死んだ後に希望を叶えられること」です。人は誰でも突然死んでしまうリスクを抱えています。それに先立ち遺言などを残しておけば、自分の財産の使い方や処分方法などについて、希望に沿った形ですすめてもらうことができます。自分が持っているさまざまな物を整理しておくことで、いざというときに慌てたり、時間が足りなくて困ったりするという事態も避けられるでしょう。また、無駄なものがなくなれば生活がシンプルになり、何かにつまずいたりする危険性が低くなります。さらに、急に入院しなければならなくなった場合などでも、整理が済んでいればどこに何があるかを家族に伝えることも、難なくできるでしょう。
もうひとつのメリットとして、「残された遺族の負担を減らせること」があります。自分が死んだことで起きる問題の多くは、相続に関するトラブルが起きてしまうことです。しかし、相続される財産が何であるかをまとめて一覧表を作成し、それを元に遺言書を書いておけば、そのような遺族の揉めごとが避けられます。作業が遅れ、その間に体が不自由になったり、認知症を発症したりすると、うまく整理ができなくなってしまう可能性があります。まして、何の整理もしないまま死んでしまっては、残された遺族の手間や確認作業は大変なものになってしまいます。そうした遺族の負担を減らすためにも、生前整理は有用なのです。
いつからはじめるべき?
生前整理をはじめるべきタイミングは、できるだけ気力や体力が残っているうちがおすすめです。特にこれといったきっかけがなくても、思い立ったときがはじめどきです。ですから、何歳でも早すぎることはありません。一度整理した後で、またあらためて整理してもいいのです。20代や30代でも構いません。
それでも何かしらのタイミングに合わせることは、始めるきっかけとしては有意義です。例えば定年になった時点で行えば、セカンドライフの人生設計の役に立つでしょう。また、不幸なことに配偶者が先に亡くなってしまったときは、それまでの人生を振り返る良い機会にもなります。場合によっては、配偶者の亡くなった後のさまざまな手続きを通して、「自分のときには残された人に面倒をかけたくない」と思うことが整理を始める動機になるかもしれません。
年齢をきっかけにするなら、70歳というのも区切りになります。平均寿命が80代半ばと考えると、いよいよ終活が視野に入ってきますし、同時にまだまだ健康を維持している人も多い年齢なので、整理をするなら今のうちにと思えるでしょう。
生前整理を行う方法
それでは、具体的な生前整理のやり方について見ていきましょう。まず行うべきことは、財産のリストを作ることです。預貯金や金融資産、不動産や貴重品など、遺産相続に関係すると思われるものをまとめます。現物については、大きい箱を用意したり、タンスや机の引き出し、部屋などを決めて、そこにまとめたりしておきます。特に印鑑や通帳、保険証書などお金や契約に関するものは、一覧の目録にしてできるだけ同じ場所にまとめておくと、いざというときに素早い手続きが可能になります。相続財産の管理には財産目録が必要になりますが、その作成を自分で行うことで、相続人に大変な手間を掛けずにすみ、財産の分配や処分方法などを具体的にイメージすることもできるでしょう。
次いで、不要なものを処分します。価値のないものは廃棄し、価値のあるものは買取業者などで現金に換えます。ここで値段が付かないものは、たとえどんなに大事にしているものでも、形見分けに使われるものを除けば自分の死後はゴミになってしまいます。ある程度、断捨離していくことも必要でしょう。
そして最後は遺言書を書くことです。手紙やメモなどの形式ではなく、民法で規定された方式や内容で作成します。より確実に作成する場合は、弁護士や公証役場を利用しましょう。
生前整理に掛かる費用や注意点
財産を自分で整理するだけならば特に費用はかかりません。ただ、引っ越しや老人ホームへの入居のため大幅に処分をしたい場合は、専門業者に依頼します。費用の多くは不用品を運ぶトラック代とスタッフ代、実際の処分にかかる金額です。家の大きさや撤去する物の量にもよりますが、1DKや2DKで数万円〜10万円、3DKや4DKで10数万円〜20万円程度が目安です。また、1時間当たり3000円~5000円で相談に応じてくれる専門のアドバイザーもいますので、不安な方は利用しましょう。
ただし、こうした業者やアドバイザーには、信用できる相手を選ぶことが必要です。専門的な資格を持っているか、事前に丁寧な見積りを出してくれるかなどを確認してください。
まとめ
生前整理に「いつまでに行う必要がある」という期限はありません。思い立ったその時がはじめるチャンスです。財産を整理し、遺言を残すことで、自分の死後でも希望が叶えられるというだけでなく、遺族の紛争を避けることにもつながります。ただし遺言書の作成や、実際の整理の方法、予算の検討は、これまでに経験をしたことのない内容も含まれるでしょう。
生前整理に関して疑問やお悩みのある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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