新嘗祭は「にいなめさい・しんじょうさい」と読み、宮中祭祀の中でも重要な位置を占める行事です。新嘗祭では天皇が五穀の新穀を天神地祇にすすめ、自ら食し、その恩恵に感謝して翌年の豊作を祈願します。新嘗祭は宮中だけでなく伊勢神宮や出雲大社でも行われ、戦前は一般の日本人にも親しまれていました。しかし今ではその意味や由来を知らない人も多いでしょう。実は勤労感謝の日とも密接な関係のあるこの新嘗祭について、詳しく解説します。
皇室行事でもある新嘗祭とは?
新嘗祭は毎年11月23日に、宮中や全国の神社で行われる祭祀で、わかりやすい表現を使うなら「収穫祭」と言えるものです。春先の2月17日に行われる、豊穣を祈願するための祈年祭(きねんさい、としごいのまつり)に対するものとして、セットとなる祭祀でもあります。
皇室行事としての新嘗祭では、宮中の「神嘉殿(しんかでん)」に、神座と御座をつくります。そして23日の夕方に天照大御神と天神地祇(すべての神様)に神膳を供え、天皇自らも食事をともにします。さらに明けた24日の早朝にも、同じように食事をしながら神々をもてなし、感謝を示し、お見送りをします。このように天皇が神と交わる大事な日であるために、古来より特別な祭祀とされてきたのです。
なお、現代ではこのときに使われる新穀について、各都道府県から2軒ずつ選ばれた農家が献納することになっています。
由来は神話時代までさかのぼる
新嘗祭の起源は非常に古く、天武天皇の時代(677年)には宮中で行われたという記録が残っています。また、仁徳天皇四十年(352年頃)に行われた、天照大神が建造した新宮にスサノオが汚物をまいたなどの伝承もありますが、いずれも神話時代であり、実際の起源は確定できていません。
しかしいずれにしても日本では古来よりこうした祭祀が行われており、原型となるものは弥生時代にはすでにあったのではないかと見られています。新嘗祭は応仁の乱などによる朝廷の困窮で中断されている時期もありましたが、江戸時代になると復活します。明治になると1873年に国民の祭日とされ、1908年には皇室祭祀令で大祭に指定されました。この法令は戦後の1947年に廃止されますが、以降もその内容を元にして祭祀が行われています。
勤労感謝の日との関係や意味とは?
さて、この新嘗祭は1873年から戦後の1947年まで、国民の祭日として親しまれてきました。しかし第二次世界大戦後、GHQの占領政策の一環で、宮中行事である新嘗祭を国が定めた休日から切り離すという措置が取られました。休日自体は残すものの、その名称として新たに考案されたものが「勤労感謝」というわけです。
これにはちょうどアメリカでも全く同じ時期に「サンクスギビングデー(11月の第4木曜日)」があり、いずれも「収穫祭」としての意味合いがあったことが理由のひとつに考えられます。また「収穫」とすると感謝の対象が農業などに偏ってしまいますが、「勤労感謝」であればすべての職業が対象になります。都市化や近代化にともない、働き方が一次産業から製造業などに変化していく中では自然な流れだったのかもしれません。
なおこの結果、勤労感謝の日は今に続く固定された祝祭日のなかで、もっとも古い歴史を持つ休日となっています。
神嘗祭や大嘗祭との違い
新嘗祭とよく似たものに神嘗祭(かんなめさい)や大嘗祭(だいじょうさい)があります。
神嘗祭は皇室の祖先に当たるとされる天照大神を祀る伊勢神宮に、時の天皇がその年に収穫した穀物などを捧げ、遠く離れた宮中からこれを拝むという儀式です。神嘗祭は新嘗祭に先立つこと1ヶ月、10月の15~17日にかけて行われます。ともに収穫への感謝を示す祭祀ですが、大きな違いは、新嘗祭は神に供えるだけでなく、ともに食すということです。
天皇は、神話によれば天照大神の子孫にあたり、国に豊穣をもたらす神の力を持っているとされています。そのため、神とともに食することで新しい力を授かることもできるとされるのです。
また大嘗祭は、天皇が即位の礼の後に初めて行う新嘗祭のことを言います。もともと同じ祭祀を指す言葉でしたが、天武天皇のころに意味が分かれました。現代では大嘗宮と呼ばれる祭場を仮設したり、参列者を迎えて盛大な会食を行う大響の義が行われたりなど、大きな規模で行われます。
まとめ
新嘗祭とは、天皇がその年の作物の恵みを神様に捧げ感謝し、自らも食するという神道にもとづく行事です。秋の収穫の時期には、ご自宅でも同じように収穫物(新米)を用意し、あらためて感謝の気持ちを示してみると良いでしょう。
本来、日本は「神道」の国です。神道や神道の行事について詳しく知りたい、または疑問や質問などありましたら、当社までお気軽にお問い合わせください。
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