仏花の飾り方・ルールは?ダメな花はある?

仏花とは、仏壇やお墓にお供えする花のことです。また、お墓参りの際にお墓に供える花は「墓花」、葬儀などで贈られる花は「供花」と呼ばれることもあります。

仏教においては、厳しい自然環境に耐え抜き花を咲かせる姿を、人間が仏様に対して修行に耐え忍ぶことへの誓いを立てる姿になぞらえたことから、花を供えるようになったといわれています。

仏花は仏様が持つ慈愛の心を表しているといわれ、花立香炉、燭台の「三具足」といわれる大切な供養品の1つです。仏花を飾る場所は、仏壇やお墓の左右両脇に備えられた花立に生けるのが一般的です。また、花立と燭台が1対ずつになったものを「五具足」と呼んでいます。宗派や地域によっても飾り方は変わってきます。

仏花は、仏様から慈悲の心を分けていただくためにお供えするという考えとともに、ご先祖様を供養し感謝の気持ちを伝える大切なお供えです。お供えした人の心を穏やかにするためにも使われるといわれています。

最近では、故人の好きだった花のほか、プリザーブドフラワーを飾る方も増えています。

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仏花の飾り方・ルール・マナー

仏花を選んで飾る際に、注意すべきポイントを解説します。

仏花を飾る用途を明確にする

仏花を選ぶ際は、まずどのような用途で使うものなのかを確認をしましょう。一般的には、ご自宅の仏壇に供えるものお墓参りの際に持っていくもの、ほかの家の仏壇に供えるため持っていくものなどが挙げられると思います。

ご自宅の仏壇にお供えする場合は、どのような花でも構いませんが、お墓参りやほかの家に持っていく場合は、仏花に適した花(後述)を選ぶようにしましょう。仏花は、一般的に500円~2,000円くらいが相場です。

仏壇に飾る場合は、両脇にある花立に一束ずつ飾ります。ただし三具足など花立が1つしかない場合は、左右対称に飾る必要はありません。また大きな花の場合は仏壇の前に机や棚を置いて飾りましょう。

飾り方のルール

仏花は、左右1対で飾るのがルールです。これは、仏教における「極楽浄土」をイメージしたものといわれています。ただし、仏壇に花立が1つしかないものについては、一束で構いません

花の本数は、3本、5本、7本といった奇数にするのが良いとされています。仏花のワンセットのことを「対(つい)」と呼びます。

仏花を供える場合は、花の表面を礼拝する側に向けるのがルールです。

仏様に供える花なので、逆ではないのかと思われる方もいらっしゃると思います。しかし、花は仏様からの慈悲の心を表すと考えられていることから、あえて礼拝する側に向けて飾るようになったといわれています。

ただし、仏花の飾り方については、地域や宗派などによっても異なることがあるため、遺族や親族などにあらかじめ確認しておくと安心です。

花立に入れる場合のマナー

仏花を花立に入れる前に、水切りと呼ばれる作業を行います。仏花を新聞紙や包装紙などで包んだ状態で、茎を10センチほど露出させます。次に、汚れていない綺麗な水の中で1~2センチ程度、茎を斜めに切ります。斜めに切る理由は、断面が広い方がたくさんの水を吸うことができるからです。

水が汚いと雑菌などで、花が早く傷んでしまうので注意しましょう。水の量は、茎がきちんと浸かるほどで十分ですが、水が少なすぎるとすぐになくなってしまいますし、多過ぎると傷みやすいため注意しましょう。その後は、直射日光が当たらない風通しの良い場所で保管します。

花立などに飾る場合は、上から見た際に「菱形」になるように、長めの花を中心にして形をととのえると良いでしょう。菱形にするのは、神棚に飾る「榊(さかき)」の形を模したからだといわれています。

手入れのマナー

水替え

生花を使った場合は、水替えを行う必要があります。できるだけこまめに、水を取り替えるのが良いでしょう。

仏花を長持ちさせる方法

仏花を長持ちさせるためには、まずバクテリアの繁殖を防ぐことが重要です。

バクテリアは、花の切り口で繁殖します。切り口がバクテリアによってふさがってしまうと、花が水を吸えなくなってしまうため、枯れてしまいます。

従って、仏花を長持ちさせる方法としては、バクテリアの繁殖を防ぐことと、花が水をよく吸える工夫を行うのが効果的です。

そのためには、毎日水替えをするようにしましょう。水の量は先ほど紹介したように、茎が浸かる程度で十分です。3~5センチ程度を目安と考えると良いでしょう。

また、水に浸かる部分はできるだけ茎だけになるように、葉は取っておきましょう。葉にバクテリアが繁殖して、腐る原因になるからです。

ただし、あまり葉を取り過ぎると見栄えが悪くなることもありますので、ほどほどにしましょう。茎にぬめりがある場合は、洗い流すか茎の下の部分を斜めに切ってください。

しかし、いくら長持ちするとはいえ、生花であれば1週間~10日程経つと、さすがに傷んでくるものです。どうしても長持ちをさせたいという場合は、延命剤を使うという方法もあります。延命剤は、花屋やホームセンターなどでも簡単に手に入ります。

仏花の片付け・処分の方法

お供えした仏花は、基本的には土に還すのがよいとされています。

しかし、毎回土に還すのが難しい場合など、燃えるゴミとして処理しても構いません。そのままの状態で処理するのが気になるという方は、半紙などの白い紙に包んで捨てるようにしましょう。

仏花にダメな花はある?

仏花に適した花

まずは、仏花に適した花を見ていきましょう。仏花として、最も一般的なものは菊です。

菊は輪菊や小菊など種類も豊富で、一年を通じて用いられています。また、カーネーションスプレーマムなどもよく使われます。これらの花も年間を通して安定して生産されており、水はけもよいため仏花に適しているといわれています。

季節によっては、お供えする花の種類を変えることがあります。例えば、春はアイリスキンセンカスターチスなど、夏はグラジオラスケイトウアイリスなどが供えられることがあります。お盆の季節にはミソハギホオズキヒャクニチソウなどがよく供えられます。

また、ご先祖様がお好きだったお花をお供えすることも、良いご供養となります。

仏花に適した色

仏花の色は、四十九日までは白い花を飾るのが一般的です。この期間は、カラフルな色は避けるべきです。

お盆や仏壇などに飾る花の色合いは「白」「黄」「紫」「赤」「ピンク」の5色が基本となります。ちなみに3色の場合は「白」「黄」「紫」となります。

仏花に適さない花

仏花に適さない花の基準は、基本的に「とげがあるもの」「毒があるもの」「ツル状のもの」「香りが強いもの」とされています。

バラアザミなどとげのある花や、があり、花の赤色が「血」思い起こさせ「死」を連想させる彼岸花は仏花には適さないといわれています。ツルがある花は「故人がツルに絡まり成仏できない」ことを連想させるため、仏花としては適していません。アサガオジャスミンノウゼンカズラなどです。香りの強いカサブランカや金木犀は、お線香の香りと混ざったり香りに敏感な方が不快に思われることもあるので避けるようにしましょう。

また、花ごと落ちる様子が首が落ちることを連想させるとして百合椿なども仏花に適さないといわれています。むくげは1日で枯れてしまうお花として「一日花」とも呼ばれており、その様子が「無常」を連想されるとして避けられています。

花粉や花びらが散りやすい花は、掃除が大変というデメリットがあります。

地域によっては、洋花も適さないという場合もありますので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。ただし、最近ではかつてタブーを言われていたことも変化してきています。きれいなバラの花が咲き誇る霊園もあります。故人の好きだった花をお供えするということもあります。仏花選びに迷ったら、菩提寺などに確認をしてみましょう。

仏花に適さない色

仏花としては、「赤」は悲しみを意味するため避けるべき色といわれています。また、「黒っぽい色」の花も仏花として贈ることは避けましょう。ダリアチューリップバラなどです。

花以外のもの

仏壇などは、花以外のものをお供えする場合もあります。

例えば、「樒(しきみ)」など枝葉のものも、よく仏様に供えられます。それほど頻繁に交換する必要がないことから、お忙しい方にはおすすめです。

ただし、葉や茎などに毒があるため、取り扱う際には注意が必要です。一般的な花屋でも簡単に手に入るので安心です。

仏花は造花でも良い?

仏花は一般的に、花屋などで購入してきた生花を使うものだという印象があります。しかし実際には、造花プリザーブドフラワー庭に咲いている花であっても特に問題はありません。

確かに、仏花には生花がよいという風潮もありますが、毎日水を換え、枯らさないように維持するのは大変です。花が傷みやすい夏場などはなおさらでしょう。

造花のメリットは、枯れる心配がない点と、手入れの手間がかからない点です。最近はライフスタイルの変化に伴い、造花などを仏花として供える方が増えています。また、プリザーブドフラワーも人気があります。

プリザーブドフラワーとは、薬品を使い生花の色や形を維持する、特殊な加工を施したものです。見た目は生花そのものなのに、枯れたり腐ったりしない点から、注目を集めています。ただし、いくら手入れが不要とはいえ、長期間放置していると、埃を被ったり色あせてくることもあるようです。

重要なのは、ご先祖様に対する気持ちなので、造花でも庭に咲いた花であっても、心がこもったものであれば良いのです。

ただし、仏教では「生あるものはいつか必ず死ぬ」という思想があるため、あえて生花を供えるとも考えられています。造花を供える場合は、地域や風習によっても異なりますので、お寺や親せきなどに確認しておくのが無難です。

また、お墓参りなどで仏花を持参していくような場合は、生花を準備するのがマナーとされています。

仏壇を美しく飾るプリザーブドフラワーとは

生花を加工して作られたお花・プリザーブドフラワーは、生花のように美しい見た目を長期間保つことができ、使用する着色料の種類によっては実在しない色に仕上げることもできるという特徴があります。また、生花に対してアレルギーのある方にも重宝されています。

保存期間は管理方法によっても違いますが、1~2年から長い場合は10年以上持つ場合もあります。作り方と管理の方法や状態によって色持ちする年数は大きく違ってきます。

プリザーブドフラワーに似たものにドライフラワーがありますが、こちらは生花を10日程乾燥させたものです。保存できる期間は2~3か月くらいとプリザーブドフラワーに比べて短く、保存している間に色が変化するという違いがあります。

このようにプリザーブドフラワーとドライフラワーはまったく別物ですが、プリザーブドフラワーは仏壇用の飾り花としても使うことができます。そのため、少しでも長く良い状態のお花を供えたいという方に人気があります。

事前に準備しておくもの

プリザーブドフラワーは、デパートやネットショップなどで購入することができますが、ご自身で作ることも可能です。

ここでは、自宅でプリザーブドフラワーを作る方法を紹介します。まずは以下のものを準備してください。

花用のハサミ

普通のハサミでもかまいませんが、花用のハサミの方が茎をきれいに切ることができます。花が水を吸いやすくなるので、加工がしやすいでしょう。

ピンセット

花びらの調整をする時などに使います。なるべく先が細いものを使用すると細やかな調節がしやすいでしょう。

透明な瓶の容器

花を溶液に浸けておくために使う容器です。花の種類や大きさに合わせて、いくつか大きさの違う容器を用意しておくと便利です。小さい花であればジャムの空き瓶などでも代用できますが、大きい容器が必要な場合は、100円ショップなどで購入すると良いでしょう。

エタノール

花の水分や色を取り除く際に使用します。専用の溶液もありますが、ドラッグストアで買えるエタノールの方が手に入れやすいでしょう。

グリセリン

グリセリンを入れると、プリザーブドフラワーを生き生きとした状態のまま着色できます。グリセリンもドラッグストアで購入できますが、専用の溶液も市販されています。パステルカラーやクリアカラーなどさまざまな色があるので、好みによって色を選ぶことができます。

インク

花を好きな色に染める際に使います。万年筆用の補充インクでもプリンター用のインクでも問題ありません。

乾燥剤

プリザーブドフラワーを長く楽しめるように、完成品と一緒の容器に入れます。お菓子などに入っているシリカゲルで代用もできます。

プリザーブドフラワーの作り方

プリザーブドフラワーを作成する方法を紹介します。エタノールや着色溶液の匂いが苦手な方は、風通しのよい場所で作業をすると良いでしょう。

1.花に水を吸わせて元気な状態にする

まずは花に水を吸わせましょう。水を吸いやすいように茎を斜めに切り、30分程、花を水にさした状態で放置しておきましょう。十分に着色液を吸わせるためにも、ここで花を元気な状態にしておくことが大切です。

2.脱水と脱色

エタノールを容器に入れてお花を浸したら、1日以上放置して花に含まれるポリフェノールやセルロースといった成分を取り除きます。これらが残っていると花が変色したり枯れる原因となるので、時間をかけてあげてください。

次に、グリセリンと水を2:1で混ぜたものにインクを混ぜ合わせて色水を作ります。専用の溶液を使う場合はそのまま使用しましょう。エタノールと同じように容器に入れて花を浸し、直射日光の当たらない場所に置いて色が付くのを待ちましょう。

3.乾燥

1日以上経つとしっかりと色が付いてきます。好みの色になったら水気を拭き取り乾燥材を入れた容器に移しましょう。2日程乾燥させればプリザーブドフラワーは完成です。最後にピンセットで好みの形状に整えてお供えしましょう。

プリザーブドフラワーにおすすめの花は?

プリザーブドフラワーに向いているのは、花びらがしっかりした厚めの花びらを持つ花です。バラやガーベラ、カーネーションどが良いでしょう。花が開ききってしまうと散りやすくなってしまうので、開きかけの花が適しています。

アジサイやヒマワリなども大きな花でも作ることができますが、百合やハイビスカスなどは色のムラができやすいので難しいでしょう。

プリザーブドフラワーを作るには時間がかかりますが、長く美しさを保つことができます。仏壇に置いても違和感がないので、生花と一緒に飾ることもできます。

プリザーブドフラワーのメリット

プリザーブドフラワーは、ドライフラワーと違って生花のような質感を長期間楽しむことができます。仏壇や墓前に飾っても自然な装いに落ち着くので、プリザーブドフラワーを好んでお供えする方もいます。

仏壇や葬儀の際に、花が長くきれいな状態を保つ方法をお探しの方や、プリザーブドフラワーを装飾する際の仏具をお探しの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

仏花の相談は「いい仏壇」

故人や先祖の霊を供養するための仏花は、我々の心にも安らぎを与えてくれるものです。毎日のお手入れは大変かもしれませんが、故人とのコミュニケーションを絶やさないためにも、無理のない範囲で執り行ってください。

仏壇や仏具は「いい仏壇」でご紹介している仏壇・仏具店などで購入することもできます。仏壇・仏具店で仏壇や仏具をお求めになる場合は「いい仏壇」の割引クーポンを利用することができる場合がありますので、ぜひ、ご利用ください。