神棚とは、神社からいただいたお札や先祖の霊を祀る棚のことです。棚そのものではなく、棚の上に安置したお宮も含めて神棚といいます。神棚には、伊勢神宮のお札を中心に、氏神の神社のお札、そして崇敬する神社のお札の3枚を祀るのが一般的です。
神棚の役割は、お札を納める場所です。
神社でいただいたお札を、家の中で大切にお祀りする場所が神棚です。
また、古くから日本では先祖の霊を供養することで神となって子孫を守ってくれると考えてきました。そのため神様を祀ることで、遠くの先祖を祀る意味もあるといわれています。
神棚の正しい配置
神棚は南や南東、東など日当たりの良い方角に設置します。ドアの付近など人がよく通るところの近くは避けましょう。
仏壇を置いている家庭では、仏壇と向かい合わせにするのもいけません。
どちらかにお参りをするときに、もう一方に対して背中を向けることになってしまいます。
神棚にはお供えをしますが、お供えにも正しい配置があり、置くときの順番も決まっています。
比較的スペースが広い場合には、最初に奥の方の真ん中にお米を置きましょう。
お酒はお猪口2つ分用意します。
お米の少し手前の方に左右に離して配置します。
向かって右側を先に置き、左側を後に置きましょう。
次に右側のお酒の手前にお塩を置いてから、左側のお酒の手前にお水を置くのが正しい配置方法と順番です。
前後のスペースがあまりないときには、横一列に並べる配置方法もあります。
最初に向かって真ん中よりもやや右側にお米を置きましょう。
次にお米の左隣にお酒を置きます。
お酒はお猪口1つだけで真ん中よりもやや左です。
そして、一番右側にお塩を置き、一番左側にお水を置くという順番です。
横一列の場合には、お酒なしの配置もできます。
順番と配置はお酒の部分を省くだけで、他は同じです。
基本的に神様に近い場所から先に置くものだと考えるといいでしょう。
神棚は定期的に掃除をしよう
神棚を置いている家庭でも特に掃除をしていない家庭も多いです。
しかし、神棚は神聖な場所であるため、汚いままにしておくのは望ましくありません。
年に2回程度は神棚の掃除をしておきましょう。
神棚を掃除する際には、綺麗に手を洗ってお参りをし、これから掃除をする旨を神様に伝えた上で行います。
他の場所の掃除のようにそのままやってしまわないように注意しましょう。
そして、床を拭く雑巾や汚い布は使わず、新しい綺麗な布を使います。
カビなどの発生を防止するため、水拭きではなく乾拭きで掃除をするのが望ましいです。
お札を取り出すときにはそのまま取り出すと神様に対して失礼にあたるため、和紙をくわえた上で取り出すようにしましょう。
古い神棚を処分するときには
神棚は仏壇のように先祖代々受け継いで何十年、何百年と使うものではありません。
5年から10年くらい経過したら、新しい神棚に買い替えます。
ただし、古い神棚はそのままゴミとして捨ててしまうことに抵抗を感じる人も多いでしょう。
古い神棚は神社で祈祷をしてもらった上で処分するか、焚き上げをするのが一般的です。
ただ、神棚の場合には仏壇と異なり、ご先祖様の魂が宿っているわけではありません。
お札には神様の力が宿っていますが、神棚そのものには特に神様の力は宿っていないことから、そのまま捨てても問題ないと解釈している神社もあるくらいです。
自分で納得の行く方法で処分するのが望ましいでしょう。
神棚の歴史
神道は日本古来の宗教ですが、神棚が家庭に設置されるようになったのは江戸時代中期以降です。
伊勢神宮を参拝する人たちに御師がお札を配布したことで、家庭内でも伊勢神宮のお札を祀れるものがあればいいということで、神棚が一般家庭に広まりました。
現在では近所の神社のお札も神棚に祀りますが、神棚ができた当時は伊勢神宮のお札を祀るためのものでした。
神棚の種類
神棚は大きく分けて3種類あります。
設置場所などを考慮して選ぶといいでしょう。
板葺神棚
板葺神棚は一般家庭でもっともよく見られる神棚です。
木曽檜などの素材で作られているものが多く、小ぶりで扉が1つの一社宮と、横に長く3つの扉が付いている三社宮があります。
さらに、三社宮は、屋根の形状で通し屋根型と段違い型があります。
屋根の高さがどこも同じなのが通し屋根型で、真ん中の部分が高くなっているのが段違い型です。
箱宮神棚
箱宮神棚は、四角い形状をした箱の中にミニチュアの神社が収まっている形の神棚です。
棚板を使わずに壁に掛けて飾ることもできます。
茅葺神棚
まとめ
神棚は役割や正しい配置方法を理解した上で設置すれば、神様に対してより一層感謝できます。掃除も定期的に行い、神棚をなるべく綺麗な状態にしておきましょう。