神棚の祀り方とは、どのようなものでしょうか。家や会社などの守り神様をお祀りする神棚。神棚の種類とお札の備え方、必要となる神具まで基本的な知識を押さえて、日々の生活に祈りを取り入れたいものです。物や情報があふれ、あわただしい毎日の生活の中でも、神棚の前で少しの間静かに手を合わせる時間を持つことで、自分自身を深く見つめることができるでしょう。神棚についての基本知識をまとめてみました。
神棚とは
神棚とは、神道の神様を祭るための棚で、家庭や会社などに設置するものです。言ってみれば神棚は小さな神社であり、つまり神様の家を自宅やオフィスに祀るというものです。生活の中に「祈りの場」を設けお祭りする日本の伝統的習慣です。神様をお祀りするのにふさわしい場所、すなわち南または東向きで、明るく清浄であり、最上階の天井の近くに設置するのが望ましいものです。
神棚に設置するものの種類と祀り方
宮形
宮形は一般的に神棚のことで、いろいろな造りがあります。その造りについて、下で簡単にまとめてみたいと思います。ただし、宮形の種類や有無にとらわれ過ぎず、ご自身の無理なくできる形でお祀りすることが大切です。
神明造り
伊勢神宮の皇大神宮を模したもので、いろいろな種類のある神棚の中でも最も一般的なものです。屋根は切妻造りで、平入の構造になっており、千木や勝男木(鰹木)がつけられています。突き出したような千木が特徴的です。凛とした存在感があります。
大社造り
「伊勢神宮の神明造り」に対して「出雲大社の大社造り」があります。屋根は代表的な形式の切妻造りで、妻入の構造になっていることが特徴です。神明造りと同様、屋根には千木と鰹木が設けられています。
流造り
全国で最も多い神社建築様式で上賀茂神社・下鴨神社に代表されます。神明造りから発展したと言われています。長い正面屋根の反り、優雅で美しい曲線を持つことが特徴的です。
大社造り
扉の数が1つのものは一社宮と呼ばれます。シンプルなので神棚を置くスペースが限られている場所に向いています。
三社宮
3枚扉で、神棚の中では最も一般的です。
お札の種類
お札には「神宮大麻のお札」「崇敬神社のお札」「氏神神社のお札」があります。伊勢神宮でいただく「天照皇大神宮」のお札である神宮大麻のお札が、一番位の高いものです。
お札の並べ方
一社宮の場合の祀り方
手前に一番位の高いお札、すなわち神宮大麻のお札がくるように、縦に並べてお納めします。続いて氏神様、崇敬する神社の順になります。
三社宮の場合の祀り方
お札を3枚、横並びに納めることができます。中央・向かって右・向かって左の順で位の高いものから並べます。3枚以上の場合でも、お宮に立てかけて置くことができます。
宮形を用いずにお祀りする場合
宮形がなくてもお札をお祀りすることはできますが、神様にとって居心地のよい場所にしたいものです。しっかり整えたタンス・本棚などの上に奉書などの敷物を敷いてお祀りするとよいでしょう。また、神様をお迎えするのにふさわしい環境を手軽に整える方法として、簡易的な御神札立てを利用するということもできます。
お札の取り換えについて
全国の神社では、慣例として翌年用のお札を12月1日から出すことになっています。ですので、お札の取り換えについては、厳格な決まりは特にないのですが、基本的には12月中に交換するのが望ましいようです。大掃除で神棚を清めた後に、新しくいただいたお札に取り換えて、清々しく新年を迎えるご家庭が多いです。ただし年末ぎりぎりに交換するのは縁起が悪いと言われています。12月29日は「九=苦」に通じるとされますし、31日は「一夜飾り」と言い嫌われていますので、避けるほうがよいでしょう。大掃除を早めに済ませ、12月29日より前に取り換えるようにします。
古い方のお札は、ごみとして出すのは厳禁です。氏神様もしくはご信仰神社にお納めしてお返ししましょう。お札をお返しする「古札所」に、古いお札を感謝を持ってお納めするようにします。そうすることで、神社がしっかりとお炊き上げしてくれます。
神具
神棚をお祀りするにあたって、最低限揃えるべき神具をまとめておきます。
・榊立:榊をお飾りします。神棚の左右に置くので一対が必要です。
・瓶子:お酒を入れるものです。
・水器:お水を入れます。通例丸い形の白い陶器でできています。お供えするときはフタを外して用います。
・高月または皿:向かって右側に塩、左側にお米を入れます。塩、お米それぞれ1枚ずつ、計2枚必要です。
・神鏡:神様のめどう(目標)とされます。自分の心を神鏡に映してふりかえるものです。 神前に表を外に向けて立て、鏡を支える台とともに用いられます。
・燈明:神棚を明るく照らします。より祈りにふさわしい空間を演出できます。
このようにさまざまな種類がある神具ですが、ご家庭ではすべて飾らなくてはならないわけではありません。まずは基本の神具を揃え、その後は必要があればその都度揃えていくとよいでしょう。また、神具に関連して、榊は毎月1日、15日に新しいものに換えます。その他のお供えものは毎日取り換えます。 神様を敬い、感謝する心を大切にしながら、少しずつご自分らしい神棚を飾っていきましょう。
まとめ
神棚は神様をお祀りするものですから、家庭の中とは言え、基本のルール・知識を押さえて神様をお迎えするのにふさわしい場所にしたいものです。神棚を設置することによって、神様を敬い、感謝する心を大切にしながら、ご家族が日々穏やかに過ごせるとよいでしょう。地域伝来の風習や、住宅事情もさまざまです。基本を押さえたうえで、ご自分の生活スタイルに合わせてお祀りすることが大切と言えます。