仏壇の素材

仏壇の素材とは
まず仏壇には大きく分けて金仏壇と唐木仏壇の2種類があります。
金仏壇は正確には漆塗り金仏壇で、材質は主にヒノキ、マツ、スギ、ケヤキなどが用いられ、漆塗りの金箔仕上げになっています。仏壇内部は「荘厳作り(しょうごんづくり)」といわれる美しい技法がほどこされています。
その他の素材として「新仏壇」とも呼ばれる、合板やアルミニウム、プラスチックなどを用いられる手ごろな価格の仏壇もあります。
仏壇に使われる素材
唐木(からき、とうぼく)
唐木の銘木をご紹介します。
黒檀(コクタン):カキノキ科カキノキ属
「木のダイヤモンド」と呼ばれるほど高価な木材です。
紫檀(シタン):マメ科ツルサイカチ属
鉄刀木(タガヤサン):マメ科ジャケツイバラ亜科
日本では黒檀、紫檀と共に「三大唐木」といわれる銘木です。
白檀(ビャクダン):ビャクダン科ビャクダン属
古くはヒンドゥー教と深く結びついており、信者は火葬用の積み薪に白檀を入れたりと、儀式の一部として用いています。
カリン:マメ科シタン属(※庭木のバラ科のカリンとは別種です)
日本の銘木
欅(ケヤキ):ニレ科ケヤキ属
タモ:モクセイ科トネリコ属
心材は明るい褐色で木目は粗く、成長の良いものは重厚になり運動用具材に使われます。成長の悪いものは軽くなり家具材として重宝されます。
檜(ヒノキ):ヒノキ科ヒノキ属
伊勢神宮をはじめとして日本の多くの歴史的建造物がヒノキで建てられています。
栓(セン):ウコギ科ハリギリ属
心材は淡灰褐色で、ホワイトアッシュに似ています。栓の中でも糠栓(ぬかせん)と呼ばれる柔らかく加工がしやすい材木から、仏壇、家具、楽器などに広く使われます。
楠(クス、クスノキ):クスノキ科ニッケイ属
木材に含まれる樟脳は、害虫を防ぎ殺す作用があるため、衣類や文書などを安全に保管するために使われます。
木目が細かくち密なため、細かい彫刻に適しています。
杉(スギ):ヒノキ科スギ属
まっすぐな木という意味の「直木(すぎ)」が変化したものといわれています。
心材は濃い茶色で独特の香りを持ちます。
桐(キリ):ノウゼンカズラ科キリ属
素材は軽くてやわらかくてゆがみにくく、湿気を通さず、燃えにくいなどとても優れた材質です。音響性にも富んでおり、古くから弦楽器の共鳴版にも使われてきました。中国と日本では、女の子が生まれたら桐を植え、結婚するときに持参金代わりにタンスを作る風習がありました。
環境修復用の樹木でもあり、水路の汚染を防ぐのにも役立ちます。また良い木炭ができるとされます。
黒柿(クロガキ):カキノキ科
材質は堅く、黒檀と似ています。昔はゴルフクラブのヘッド作りにも使われてきました。
槐(エンジュ):マメ科エンジュ属
耐久性が高く、腐りにくく保存性が高いです。
「延寿」の文字があてられることで、長寿安産を祈る素材になります。
世界三大銘木
ウォールナット:クルミ科クルミ属
チーク:シソ科チーク属
赤褐色をしており、何年も経つと色あせて上品な銀灰色になります。
マホガニー:センダン科マホガニー属
また、19世紀には高級家具として多く生産され、木目が細かく均等で音がよく共鳴することから音楽楽器としても作られ貴重な高級木材とされます。
その他の世界の銘木
黄王檀(キオウタン):ムラサキ科カキバチシャノキ属
シャム柿(シャムガキ):ムラサキ科
アッシュ:モクセイ科トネリコ属
ハードメープル:カエデ科カエデ属
心材はクリーム色~淡い赤茶色で、白く長い材料を取ることができます。衝撃に強いのでボーリングのレーンやピンの素材にも使われます。
まとめ
また、全国の神社には樹木名がついた神社が多くあり、樹木は古くから信仰と深く関わるものであったことがわかります。長い年月を経て成長し、私たちの手によって生活に身近な崇高の対象の形になっている樹木は、形を変えても大切に存在でもあります。
仏壇に使われる伝統や技法は後世に引き継がれていくべき財産です。高級な銘木は入荷もなかなか難しいので、仏壇を素材で選ぶ場合には、値段はもちろん耐久性や色調、補修の際の木材の入荷の様子など、先々のことを考え選ぶことが大切です。

