線香とは、香木など香りの原料にたぶ粉などを混ぜて、棒状に乾燥させたものです。仏壇に手を合わせるときやお墓参りのときなど、日常で使われる香の中で最も一般的なものといえるでしょう。ここでは、線香をあげる意味や作法のポイント、線香の種類などについてご紹介します。
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線香を故人のお墓や仏前、仏壇にお供えするという行為にはさまざまな意味合いがあります。例えば故人にとっての食事という考え方があります。仏教では、人は亡くなるとあの世へ旅立つとされており、故人は線香の香りを食べながらあの世まで旅をするというものです。人が亡くなってから四十九日法要を終えるまでの期間を中陰と言い、故人が食べ物に困ることがないように、49日間は絶やさず線香を焚きます。
そして、忌明けすると、故人はあの世へ旅立ち仏様となります。
その後は線香をあげることで、仏様となった故人と心を通じ合わせることができるようになるとされています。仏壇の前で線香をあげる際も、故人に対して話しかけることで気持ちを伝えることができます。
また、線香にはその場所や自分自身を清める効果もあるとされています。仏様に挨拶する前に線香の香りで身を清め、穢れのない状態で仏様とつながることができるのです。
線香の種類
お墓参りなどでよく使うのは、杉線香と呼ばれる線香です。この線香は、その名の通り杉の葉を粉末で作られているため、杉の香りがします。煙が大量に出るので屋外での使用に向いています。
もう一つは匂い線香と言い、たぶという木の皮を基に香料や香木などを混ぜて作られる線香です。一般家庭などで広く使われている線香です。
また、マンションなど気密性の高い居住空間で使えるように、煙や香りの少ない微煙香と呼ばれるものなど、さまざまなタイプのものがあります。
仏壇で線香をあげる際の作法のポイント
仏壇で線香をあげる場合にも作法があります。まずは軽く仏壇に一礼をしてから、次にろうそくに火を灯し、線香に火をつけます。
線香の火を消すときは、人の息には穢れがあると考えられているので、手であおいで消すようにしましょう。
火を消したら宗派の作法に従って、線香を香炉にお供えします。
宗派による線香のあげ方の違い
宗派によって線香のあげ方が違います。また、お寺や地域によっても線香のあげ方が異なる場合もあります。ここでは、基本的な線香のあげ方を宗派とともにご紹介します。
なお、地域やお寺の考え方によって作法が異なる場合もあります。不安に感じた場合には、地域の仏壇仏具専門店や菩提寺に聞いてみましょう。
線香を1本立てる宗派
1本立てが基本の宗派は、曹洞宗・臨済宗です。線香を香炉の真ん中に1本真っすぐに立てます。火を消すときは線香を持っていない手で仰いで消します。
線香を寝かせる宗派は、浄土真宗・真宗です。1本の線香を香炉の大きさに合わせて折り、横に寝かせておきます。折る本数に決まりはなく、折ってから火をつけて手で仰いで消すのが作法です。寝かす向きについても決まりはありません。しかし、浄土真宗東本願寺派は火がついている方を左に向けるそうです。
線香を3本立てる宗派
線香を3本立てる宗派は真言宗と天台宗です。線香を仏壇側に2本、自分側に1本立てて逆三角形を作るように立てます。これは仏様の方に尖った部分がいかないようにするためです。火の消し方は他の宗派と同様に仰いで消します。
そのほかの立て方と宗派
浄土宗や日蓮宗はお寺などによって多少の違いがあります。
浄土宗では、1本を真ん中に立てる場合と1本を2つに折って横に寝かせる場合があります。また、日蓮宗では1本を真ん中に立てる場合と、3本を逆三角形に立てる場合があります。どちらの宗派も火の消し方は他の宗派と同じです。
お墓参りで線香をお供えするまでの流れとは
宗派によって違いはありますが、お墓参りでもお供え物の一つとして線香をあげます。これも先祖や故人とつながるための行為です。しかし、お墓参りでは線香だけでなく、食品のお供えや打ち水など他にもやることがあり、作法もあります。お墓参りでも作法を守り、故人に挨拶するようにしましょう。
お墓が寺院で管理をしている場合は、まず御本尊に挨拶をします。そして、水汲み場で桶に水を汲みお墓に向かいます。
墓前では、一度合唱をしてからお墓回りの掃除をしていきます。墓石の掃除は、傷がつかないようにきれいな雑巾などで拭くとよいでしょう。
お墓の掃除が終わった後、墓石に柄杓で打ち水をします。そして、用意してきたお花を飾り、食べ物をお供えしてお墓の中央にある水鉢に水を入れます。
すべての準備を終えた後、線香をあげます。線香のあげ方は宗派によってさまざまですが、火を消すときは手で振って消すようにしましょう。
線香をあげ終えたらお供え物を持ち帰り、家でいただきます。
まとめ
線香の作法を知っておくことで、お墓参りや仏壇で線香をあげるときに失礼がないようにふるまうことができます。
また、線香一つとってもさまざまな意味合いがあり、その意味を知るとお仏壇に手を合わせるときの気持ちも変わってくるものです。
故人の冥福を祈るためにも、作法を守って線香をあげるようにしましょう。
お仏壇や線香など仏具に関してお悩みの方、購入を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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