仏飯器とは

仏飯器とは、仏飯をお供えする仏具のことです。近年は、仏壇が住宅事情に合わせてコンパクトになり、デザイン性も高くなってきました。それに合わせて仏飯器もさまざまなタイプのものが出てきています。しかし、仏壇にかかせない仏飯器の意味や役割をご存知の方は少ないのではないでしょうか。そこで、仏飯器の意味と役割、種類、お供えの方法について紹介します。

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仏飯器の役割

仏飯器とは、仏さまにご飯をお供えするための仏具です。丸みを帯びた形で足が高くなっているのが一般的です。高い足には仏さまに対する敬いの気持ちが込められているといわれています。

仏飯器をはじめ、お茶や水を入れる茶湯器、お菓子や果物を盛る高月、仏飯器と茶湯器を乗せる仏器膳をまとめて飲食供養具とも呼びます。

仏飯器の種類

一言で仏飯器といってもその素材・色などの組み合わせによってさまざまです。陶器、銅、真鍮、ガラス、ステンレス、木製などの素材から作られています。陶器製やガラス製のものは一体型ですが、真鍮製や木製のものは、ご飯を盛る部分が取りはずし可能なものがあります。

ワインレッドやメタリックブラウンなどの落ち着いた色合いのものや、パステル系のブルー、ピンク、イエローなどの穏やかな色合いのものが主流です。ガラス製のものの中には、クリアや曇りガラスを使ったモダンな色合いの仏飯器もあります。

仏壇自体もライフスタイルの変化に合わせてリビングに置ける小型の仏壇や、デザインがモダンなものなど多様化してきています。それに合わせて仏飯器もさまざまなデザインのものが販売されるようになりました。

高い足が付いているのが伝統的な仏飯器ですが、足が短いものや、足がないものなどもあります。サイズも3㎝程度から8㎝程度までさまざまありますので、仏壇のサイズに合わせて選びましょう。

仏飯器と宗紋

仏飯器には宗派の紋が入っていることもあります。

それを見れば、自分の家の宗派が分かります。新しく仏具を購入するときは確認しておくとよいでしょう。また、仏飯は宗派によって盛り方が異なることもありますので、お供えする前に宗派を確認しておきましょう。

浄土真宗・本願寺派(お西)

藤の花をモチーフとした「下り藤」という紋です。このほかにも「五七の桐」という紋を使用することもあります。

真宗・大谷派(お東)

主な宗紋は2種類で「八つ藤紋の拝」という紋と「抱き牡丹」という紋です。

日蓮宗

日蓮宗では、「井桁に橘」の紋が宗紋のように用いられています。これは日蓮聖人の出自、井伊家の家紋です。

仏飯の供え方

仏飯を供えるタイミング

毎朝、ご飯が炊けたら一番にお供えします。また、お供えした仏飯は午前中のうちに下げます。

仏飯器を飾る位置

仏壇は最上段の中央にご本尊、その両脇に宗祖名号の描かれた掛け軸を飾ります。次の段のご本尊が隠れない位置に位牌を安置します。仏飯器は次の段に置きます。中央に仏器膳を置いて、その上に仏飯器、茶湯器を置きます。その左右には高月を配置します。仏飯はご本尊へのお供えなので、位牌の前ではなく、ご本尊の前に来るように供えましょう。

大型の仏壇の場合は両脇の掛け軸の前にもお供えします。また、仏壇が高い場所にあり、お供えが難しい場合は、手前に卓などを用意して、お供えしてもかまいません。その場合もご本尊の前に来るようにお供えしてください。

仏飯の盛り方

本願寺派は蓮莟形という蓮のつぼみをイメージした形に盛ります。仏飯器にご飯を小高く盛り、しゃもじの背などを使い、つぼみのような円錐形にしていきます。

大谷派は、蓮の実をイメージした円筒形になるように盛り付けます。盛糟という道具を使い仏飯器に盛り付けます。盛糟は仏飯器の大きさに合うものを使いましょう。

このとき、しゃもじや盛糟を軽く水で濡らしてから行うと、ご飯が付きにくくきれいに仕上がります。

仏飯などの飲食をお供えする意味

仏飯には仏さまに食べていただくためではなく、私たちが日々食事をして生きていることへの感謝の気持ちをお供えするという意味があります。そのため、お供えしたものを放置して腐らせるなど無駄にするのではなく、食べられるうちに下げ、おさがりとして食べるのが本来のあり方です。

仕事などで午前中に下げられないときは、朝のお参りが済んだらすぐに下げて食べてもかまいません。特に夏などは衛生面に気を付けて、大切にいただきましょう。

そもそも、仏飯を午前中にお供えすることは、お釈迦さまが毎日午前中に一食だけ食事をしたことに由来しているといわれています。また、仏飯は午後には下げますが、これは戒律生活の僧侶である「比丘」の食生活にならったものです。比丘の食事は朝・昼の2回のみで、午後は食事をしないためです。

まとめ

仏壇のお給仕は本来、施しの精神で行うものです。毎日行うのが理想ではありますが、まずは自分のできる範囲で無理なくお供えをしていきましょう。

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