浄土真宗は、「阿弥陀仏の本願を信じ念仏を唱えることで、阿弥陀如来によって極楽浄土に迎えられ、救われ、仏になる」という考えを基本とし、親鸞聖人によって開かれた仏教の宗派のひとつです。
そして、日本の仏教の中で信者数が最も多い宗派です。
浄土真宗の中でもいくつかの宗派に分かれていますが、代表的な宗派が
で、浄土真宗の信者の大半は上記どちらかの宗派です。
仏壇は、宗派によってお参りの仕方や種類・祀り方が大きく変わります。
今回は、浄土真宗の仏壇の選び方・祀り方・お参りの方法などをご紹介していきます。
浄土真宗の仏壇の選び方
浄土真宗といえば「金仏壇」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
しかし、実は「浄土真宗だから金仏壇を選ばなければいけない」という決まりは特にありません。
現代的なデザインのモダン仏壇や唐木仏壇をお祀りする方もいらっしゃいます。
近年は、浄土真宗の方でも、金仏壇以外の仏壇を選ぶ方も増えています。
ただ、実際のところ、仏壇仏具店などで「浄土真宗です…」と相談すると金仏壇をすすめられ、金仏壇を選ぶことも多いようです。
また、浄土真宗のご住職によっては「浄土真宗は金仏壇が良い」という考え方をお持ちの方もいるよです。
実は、仏壇が金色なのには理由があります。
浄土真宗では、仏壇で阿弥陀如来のいる極楽浄土を表現しています。
そのため「阿弥陀様がいらっしゃる極楽はこんなに光り輝いているんですよ」と門徒(信徒)に伝えるため、金色に輝いていると言われています。
また、金は日本古来の考え方で最も格式高い色でもあり、格式高さや荘厳さを示しているとも言われています。
そのような理由から「浄土真宗では金仏壇を選ぶべきだ」と考える方が多いのも事実です。
浄土真宗の金仏壇は、宗派により若干の違いがあります。
そのため、金仏壇を選ぶ場合は、浄土真宗での宗派に合わせた仏壇を選ぶ必要があります。
例えば、代表的な浄土真宗本願寺派(西本願寺)と真宗大谷派(東本願寺)では、御本尊を安置する部分である「宮殿」(くうでん)に違いがあります。
以下、宗派ごとの宮殿の違いを表にまとめてみました。
宗派名 | 宮殿の屋根 | 宮殿の柱 |
浄土真宗本願寺派(西本願寺) | 一重の屋根ですべてが金色 | 金箔押し+金色の金具 |
真宗大谷派(東本願寺) | 二重の屋根で黒い漆塗り部分がある | 黒い漆塗り+金色の金具 |
基本的に
- 浄土真宗本願寺派はすべて金色
- 真宗大谷派は黒い漆塗り部分がある
という違いがあります。
金仏壇を購入する際は、間違って違う宗派のものを選ばないよう注意が必要です。
仏壇にはさまざまな素材やサイズがあるので、好みや予算に合わせてご自宅に合った仏壇を選びましょう。
浄土真宗の仏壇のお供え
浄土真宗でも、他宗派と同じようにお供えものをします。
他宗派と違うのは、浄土真宗のお供えものは、故人ではなく、阿弥陀如来へのお供えものです。
また、お供えするものやお供えの仕方にも違いがあります。
ここでは、浄土真宗の仏壇にお供えするものとお供えの仕方を確認しましょう。
仏飯(ご飯)
浄土真宗では、故人はすでに阿弥陀如来のお導きで、素晴らしい水が湧き出る浄土にいるという考え方から、水をお供えしません。
しかし、ご飯・お餅・お菓子・果物などは他宗派と同じようにお供えをします。
仏飯のお供えの仕方は、本願寺派と大谷派で違います。
浄土真宗本願寺派の仏飯
浄土真宗本願寺派では、仏飯をよそうときに、ハスの花の蕾をイメージして盛りつけます。
仏飯器を盛る前に器を水で濡らすと、後で片付けをするときに楽になります。
真宗大谷派の仏飯
真宗大谷派の仏飯のよそい方は、ハスの実をイメージした円柱形です。
しゃもじで形を整えるのは難しいので「盛糟」という道具を使うのが一般的です。
ろうそく
浄土真宗では、ろうそくもお供えしますが、他宗派とはお供えの仕方が異なります。
浄土真宗で使う和ろうそくは、主に白と赤の2種類で、場面によって使い分けられています。
白ろうそくをお供えするのは、
- 基本的な日々のお参り
- 月命日、一周忌、三回忌くらいまでの年忌法要
赤ろうそくをお供えするのは、
- 七回忌からの年忌法要
- お彼岸やお盆の時
というように、場面ごとで使い分けをしてお供えすることが多いです。
自宅で法要をする場合は、お寺の住職に相談すると安心です。
お香・線香
浄土真宗では、線香もお供えします。
良い香りを仏様にお供えすることで、感謝の気持ちを表現すると同時に、仏様の智慧としての香りが部屋に広がって私たちに届くと考えられています。
浄土真宗の仏壇のお参り方法
基本的な浄土真宗のお参り手順は、下記のとおりです。
- 朝起きたら炊きたてのご飯をお供えする
- 礼拝時は、まずろうそくに点火する
- 次に、香炉の大きさに合わせて線香を折る
- 線香の火が付いた方を左側にし、香炉の中に寝かせて置く
それ以外にも、いくつか注意点があるので、紹介します。
おりんは鳴らさない
浄土真宗では、日々のお参り時におりんを鳴らしません。
「おりんを鳴らして仏様に気づいてもらう」と考える方がいるようですが、浄土真宗の考え方では、仏様は常に私たちを見守っていてくださり、おりんを鳴らさなくても見てくださっているとされています。
浄土真宗でおりんを鳴らすのは、読経の始めと終わりの合図として鳴らす場合のみです。
仏壇の扉は閉めない
地域によっては、葬儀があったときなど、四十九日まで仏壇の扉を閉めておくという風習もあります。
しかし、浄土真宗では、仏壇の扉は開けておく方が良いとされています。
その理由として、浄土真宗では、死は穢れではなく、亡き後は極楽浄土へ迎えられ仏になるという教えがあるからです。
また、仏壇は、阿弥陀如来の慈悲に気付かせてくれる場でもあるため、忌中でも普段通り開けておくのが基本です。
浄土真宗の仏壇に飾る仏具
仏壇だけでなく、仏具も宗派による違いがあります。
浄土真宗の仏具の最大の特徴は「位牌を置かない」ことです。
ここでは、浄土真宗の仏壇にお祀りする仏具と宗派による違いを紹介します。
御本尊
御本尊とは、信仰の対象とされているもので、浄土真宗の御本尊は「阿弥陀如来」です。
仏像または掛け軸のどちらかをお祀りします。
掛け軸を飾る場合の注意点として、一見同じように見えますが、宗派で違いがあります。
- 浄土真宗本願寺派は阿弥陀如来上部の後光が8本
- 真宗大谷派は阿弥陀如来上部の後光が6本
という違いがあるので、注意しましょう。
最近では、御本尊が描かれた「御絵像」を仏壇仏具店で入手する人が多いよう。
しかし、本来、浄土真宗では、御本尊はお寺にお願いして脇侍とともに本山からお受けするものです。
脇侍(きょうじ・わきじ)
脇侍は、御本尊の左右にお祀りするもので、開祖や宗派に関わりの深い仏様・僧侶の掛け軸のことを指します。
浄土真宗本願寺派であれば、
- 向かって右に「親鸞聖人」
- 向かって左に「蓮如上人」
の掛け軸を安置します。
真宗大谷派の場合は、
- 向かって右に「十字名號(じゅうじみょうごう)」
帰命尽十方無碍光如来(きみょうじんじっぽうむげこうにょらい) - 向かって左に「九字名號(くじみょうごう)」
南無不可思議光如来(なむふかしぎこうにょらい)
をお掛けしましょう。
法名軸・過去帳
先述したとおり、浄土真宗では本来位牌を安置しません。
その理由としては、浄土真宗の教えでは亡くなると仏様に導かれて極楽浄土へ迎えられるとされているため、他宗派の「魂が宿った位牌をご供養をする」という考え方とは異なります。
他宗派では位牌に故人の戒名を記しますが、浄土真宗では、法名軸や過去帳に記します。
どちらも役割としては同じで、故人の法名(他宗派での戒名にあたる)・命日・享年などを記します。
一般的に、法名軸の方が過去帳よりも正式なものとされています。
また、どちらも一緒に飾り付けることもあれば、どちらか片方のみを飾る場合もあるようです。
法名軸の書き方・詳細はこちらで詳しく解説しています。
三具足・五具足・四具足
三具足・五具足は、どの宗派でも仏壇に飾る基本的な仏具を合わせた名称です。
宗派による形状・種類などの違いはあれど、一般的にどの宗派でも必要になる仏具です。
正式には五具足が基本ですが、スペースの問題で飾れない場合は三具足を飾ります。
浄土真宗では、上記のどちらかに合わせて四具足(しぐそく)を飾ることもあります。
具足の内容も宗派によって多少の違いがあります。
宗派名 | 四具足 |
浄土真宗本願寺派(西本願寺) | 華鋲×2個/火舎香炉×1個/火立×1個 |
真宗大谷派(東本願寺) | 華鋲×2個/火舎香炉×1個/仏飯器×1個 |
最近は、四具足までお祀りしている方は少ないようですが、四具足を飾るのは浄土真宗のみです。
その他仏具一覧
その他にも、基本的な仏具をお飾りします。
下記、仏具一覧と浄土真宗の宗派ごとに違いをまとめた表です。
浄土真宗本願寺派(西本願寺) | 真宗大谷派(東本願寺) | |
香炉 (お線香をお供えする仏具) | 青磁の土香炉 | 鶴が亀の上に乗っている火立と透かしの土香炉 |
角供花 (お菓子や果物をお供えする仏具) | 六角供花 | 八角供花 |
仏飯器 (ご飯を供える仏具) | 黒の仏飯器 | 金の仏飯器 |
おりん | りん布団を敷く | りん布団を敷かない |
打敷 (仏壇の段や上卓にかける仏具) | 逆三角形の三角打敷 | 逆三角形の三角打敷 |
打敷は、浄土真宗以外の宗派では四角形の打敷を使用します。
また、仏具については、
- 浄土真宗本願寺派は黒色の仏具
- 真宗大谷派は金色の仏具
という分類があるため、購入時には注意するようにしましょう。
浄土真宗の仏具の飾り方
仏壇に仏具を飾る際は、宗派によって飾り方・飾る仏具に違いがあります。
仏壇の種類やサイズにもよりますが、一般的に浄土真宗では下記のように仏具を配置します。
浄土真宗本願寺派の仏具配置
- 最上段の中央に御本尊である阿弥陀如来をお祀り
- 御本尊の左側に蓮如上人・右側に親鸞聖人をお祀り
- 天井に灯籠(とうろう)と瓔珞(ようらく)を飾る
- 御本尊の前には、仏飯器/華瓶を置く
- 中段には、打敷を挟んだ上に火立/花立/香炉を安置し、両脇に供花
- 最下段には、見台に載せた過去帳を置き、おりんなどの仏具は経机の上に置く
真宗大谷派の仏具配置
- 最上段の中央に御本尊である阿弥陀如来をお祀り
- 御本尊の左側に九字名號・右側に十字名號をお祀り
- 金灯篭を御本尊と脇侍の間に吊るす
- 灯籠(とうろう)と瓔珞(ようらく)を脇侍の外側に飾る
- 法名軸を飾る場合は、仏壇の左右の壁面内側で、脇侍の外側にお祀り
- 御本尊の前には、火舎香炉を真ん中に置き、両側に華瓶と仏飯器を一対ずつ置く
- 前卓には、三具足または五具足を配置
- 最下段右側には、見台に載せた過去帳を置き、経机におりんなどの仏具を置く
三具足の場合は、
- 真ん中に土香炉
- 右に鶴亀燭台(火立)
- 左に花立
の順番で並べます。
五具足の場合は、
- 真ん中に土香炉
- 両側に鶴亀燭台(火立)と花立
の順番で並べます。
仏具の数によって配置方法が変わるだけでなく、仏壇の種類(大型の金仏壇かコンパクトなモダン仏壇か)でも使用する仏具の数や飾り方が変わります。
浄土真宗の仏具を購入する前に、お近くの仏壇店などで宗派のしきたりに詳しい方に確認をするようにしましょう。
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