神棚とは各家庭の中で神様を祀る小さな神社のことです。商売繁盛を願う自営業の方の家や、地方の家などでは今でもよく見られます。しかし住居の欧米化が進み、神棚を祀る家庭は少なくなりました。
そのような中で、「神棚をどう扱えばよいかわからない」という声もよく聞かれます。今回は、リフォームや引っ越しなどに伴う神棚の移動や処分の方法についてご紹介します。
日常では、神棚を動かすことはあまりありません。しかし、リフォームや引っ越しなどに伴い、どうしても神棚を移動させなければならないということも出てきます。今回は、そういった際の手順や対処法をご紹介します。
神棚で祀っている神様に移動する旨を報告
仏壇の移動の際は、お坊さんに魂抜きをしてもらい、移動後は魂入れをしてもらうのが通常ですが、神棚においても同様です。
神棚を移動する前に、近所の神社に参拝し神様に報告をします。次に神社から神主さんをお呼びし、「魂抜き」をしてもらいます。ただし今では、魂抜きを行わず、参拝だけで済ませる家庭も増えています。
お札を神棚から取り出す
神棚の中のお札は、取り出したら放置せず、白い布や和紙に包んで大切に保管します。上に物などは乗せないようにしてください。
神棚を荷造りする
引っ越し作業では、神棚の荷造りは最後に行います。家具など他の荷物を片付けてから、仏壇や神棚の梱包作業に取り掛かります。まず神棚専用の雑巾で、軽く乾拭きします。次にお札を取り出し、神棚を降ろします。このとき神棚は直に床に置かずに、きれいな布の上に置いていきます。すべて降ろし終えたら、あらかじめ用意しておいた箱に収めていきます。
新居で神棚を設置する
新居へ着いたら、他の荷物よりも先にまずは神棚を設置します。この時、気をつけるべきことは、旧居となるべく同じような状態にすることです。
お札を納める
神棚を設置し終えたら、丁寧にお札を納めます。住む地域が変わればその地域の神社(氏神)も変わります。神社が変わった場合は、その土地の神社へ出向き、新しいお札を用意してもらいます。元のお札は旧居の土地の神社に納めます。
神棚の移動の前にしておきたいこと
業者へ依頼する場合は早めに連絡する
移動は業者に委託することもできます。引っ越し業者はもちろん、神棚を購入したお店で対応してもらえる場合もあります。引っ越しが決まった時点で連絡を入れておくとスムーズです。
神棚の移動時の注意点
最後に運び出し、最初に運びこむ
繰り返しになりますが、引っ越しで神棚を運搬する際には決まりごとがあります。つまり「旧居からは最後に運び出し、新居には最初に運び込む」というものです。
お札は自分で運ぶ
お札やお供え物をはじめ、神棚に関するものはできるだけ自分で運ぶようにします。万一破損をしても補償がない引っ越し業者も少なくないからです。細心の注意を払って自ら運ぶのが、破損を防ぐうえでは最も安心できる方法です。
取り外せるものは取り外しておく
神祭具には細かな作りのものもあります。付属品をひとつひとつ外して丁寧に梱包しておくことで、運搬時の破損を防ぐことができます。
現状を撮影しておく
引っ越し作業を行う際は、事前に神棚を撮影しておきましょう。後でどこに何を配置するかを確認でき、新居に移動した際の設置がスムーズに進みます。
氏神様が変わる場合
住む地域が変わると、参拝する神社も変わります。旧居のお札は、旧居のある地域の神社に納めます。そして、新居のある地域の神社には引っ越しの報告を行い、新しいお札をいただきます。
本来は前述のとおり、新居に神主さんを招いて魂抜きと魂入れをしてもらいます。ただこれには、日程調整の負担や金銭的な負担が掛かります。そうした場合は、神社に参拝し、神様にご報告するだけでも失礼にはあたりません。
新居と旧居に神棚がある場合
新居に行ってみると、すでに神棚が祀ってあるというケースもあります。前の住人が置いていったものがほとんどですが、このような元から置いてある神棚は、一般的には使用しないことの方が多いようです。反対に、旧居に神棚を置いてくることがないように注意が必要です。使用しない場合でも、丁寧に専用の箱に入れて保管するか、お焚き上げをするようにします。
神棚を処分する場合
神棚を処分したい場合、神社へ出向き祈祷をしてもらいます。仏壇同様に魂抜きをしてもらう必要があります。
近年は、おしゃれなインテリアが人気を呼ぶなか、モダンな神棚やコンパクトな神棚も登場しています。ライフスタイルの変化に対応した新しい神棚です。新居の佇まいや環境にあわせて、こうしたデザイン性の高い神棚を設置するのも選択肢のひとつです。
まとめ
神棚の移動は、ライフスタイルの変化や家庭環境の変化により、近年増加しています。移動が必要となった場合でも、今回紹介したような基礎知識があれば安心です。引っ越し業者にお願いする際にも、適切な依頼ができます。神聖なものだからこそ、作法に則った振る舞いが大切です。
「神棚を移動したいけれど知識がない」とお悩みの方は、お近くの新仏具店に聞いてみましょう。いい仏壇でもさまざまなお悩み、ご相談をお受けしています。お気軽にお問い合わせください。