仏旗とは、仏教徒が仏教を信仰していることを示すための旗のことで、仏教の象徴として掲げられます。現在、国籍や宗派を問わず、世界中の仏教徒が同じ旗を使用しています。縞模様のカラフルな配色が特徴的で、それぞれの色に重要な意味が込められています。ここでは法要などでも掲げられる仏旗の歴史や意味、役割、用途などについてご紹介します。
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仏旗は、仏教のシンボルとして掲げられる旗のことです。仏教徒が仏道を歩く際の旗印であり、世界中に教えを広めていくために作られました。旗の色にはそれぞれ意味があり、世界を包み込む仏陀の慈悲が表現されています。
仏旗はヘンリー・オルコットというアメリカ人によって考案されました。オルコットは神智学協会を創始し、仏教の普及に貢献した人物です。1885年に開かれたコロンボ委員会で、仏旗のデザインやサイズなどが決定されました。その後、仏教徒の国際組織である「世界仏教徒連盟」が発足した1950年に開かれた第1回世界仏教徒会議で「国際仏旗」として定められました。
日本では1889年にオルコットらが来日した際に仏旗が紹介され、知られるようになりました。1954年に開催された第2回日本仏教徒会議で日本でも仏旗が正式に定められ、現在も国や宗派を問わず、万国共通の旗印として掲げられています。
仏旗の役割と用途
仏旗には、仏教への信仰を象徴する役割があります。つまり、仏教の教えを守り、説かれ、伝える場所を示す際に仏旗を掲げます。各宗派の御本山や寺院に掲げられることが多く、仏旗の存在が気になった方もいらっしゃるかもしれません。
しばしば見かけるため常に掲げられているように見えますが、仏旗は日常的に使用されるものではありません。
あくまで仏旗は仏教行事が行われている目印であり、日常とは一線を画す特別な日に飾られるものです。そのため、寺院が仏旗を掲げるのは法要をはじめとする行事を執り行うときに限られ、門前や本堂など人目につきやすい場所に飾られます。また、一般家庭でも仏事の際には人などと同様に仏旗を掲げることがあります。
仏旗の色とその意味
仏旗の特徴的な配色が目を引きます。仏旗は左から6本の縦縞が並び、右端の6本目は5つの区画に分割され5色の横縞が並べられています。縦縞の配色は左から青、黄、赤、白、橙(だいだい)で、横縞にも同色が用いられており、上から青、黄、赤、白、橙と配色されています。
それぞれの色には以下のように異なる宗教上の意味が込められています。
青
仏陀の髪の色で、定根(じょうこん)を表します。定根とは、心が乱さず穏やかな気持ちで力強く生きる力のことです。
黄
仏陀の体の色で、金剛(こんごう)を表します。金剛とは、確固として揺るぎない様子のことです。
赤
仏陀の血液の色で、精進(しょうじん)を表します。精進とは、大きな慈悲の心で救済を続ける活動のことです。
白
仏陀の歯の色で、清浄(しょうじょう)を表します。清浄とは、清らかな心で煩悩を清めることです。
橙
仏陀の袈裟の色で、忍辱(にんにく)を表します。忍辱とは、侮辱や迫害などの苦難に耐え忍ぶことです。橙はインドやタイなどの僧が身につける袈裟の色でもあります。
六金色(ろっこんじき)とは
古くから伝わるお経の「小部経典」では、仏陀が力を発揮するときに「六金色(ろっこんじき)」の光を放ったと記されています。つまり、この六金色を仏旗に使用することで仏陀の光明を表し、「六色仏旗」という名称はこの経典に由来します。
六金色とは、青、黄、赤、白、瑪瑙(めのう)、玻璃(はり)のことで、瑪瑙は赤褐色や朱色のような色合いで、玻璃は透明な色彩を表します。そのため、国際仏旗では橙が瑪瑙に相当し、6色目の横縞が透明な玻璃の輝きを表現しています。
旧仏旗との違い
旧仏旗とは、国際仏旗が定められる以前からあった旗のことです。旧仏旗も6本の縦縞で構成されていますが、その配色は左から緑、黄、赤、白、紫です。そして、6本目の横縞には上から緑、黄、赤、白、紫が並びます。国際仏旗における青の場所に緑が、橙の場所に紫が置かれているという違いがあります。しかし、色は違うものの込められている意味合いは国際仏旗と同じです。
また、必ずしも国際仏旗を使用しなければならないという決まりはなく、旧仏旗を使用することも可能です。実際に旧仏旗を使う宗派や寺院もあります。例えば、同じ浄土真宗でも、真宗大谷派では旧仏旗を、本願寺派では新仏旗を使用する傾向があります。仏旗の形状には一般的な国旗タイプのほか、のぼりや吹き流しタイプがあります。
まとめ
寺院で見かけることが多いため、仏旗は一般の人々にとって縁遠い存在かもしれません。しかし、仏旗は世界中にいる仏教徒が信仰の象徴として掲げるために作成されました。そのため、希望をすれば一般家庭の法事や法要にも取り入れることができます。宗派によって旧式の仏旗を掲げる場合もあるため、故人の宗派が国際仏旗を用いるのか、または旧仏旗なのかを確認しておくとよいでしょう。仏旗や仏事について疑問がある方はお気軽にご相談ください。
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